市民新報コラム

インプラントの適応 その1 (2008年1月)

近年、インプラント(人工歯根療法)は社会的な認知性も高まり、一般臨床医の間でも患者さんに咀嚼機能・審美的な回復をする一治療法として取り入れられています。また、同時にインプラント素材の研究開発、外科的手技も進化して従来インプラント療法の適応でなかった患者さんも「咬める喜び」を享受できるようになりました。

私の診療室に訪れる患者さんの中には以前、インプラントができないと言われ、あきらめていた患者さんも多くいらっしゃいます。また、誤った知識でインプラントの適応でないと思い込んでいる患者さんもいらっしゃいます。
以前、インプラントは頑丈な下顎骨では可能だけれど、上顎骨は適応でないという見解もありましたが、現在のインプラント(人工歯根)は上顎骨・下顎骨とも良好な予後を得ることができます。また、ヒトの頬の内側、顔面骨の中には上顎洞という鼻腔とつながっている空洞がありますが、その大きさ、形状はヒトにより異なります。そのため、上顎にインプラントを埋めるために十分な骨量を確保できない場合もあります。1990年前後ですとあきらめるしかありませんでしたが、外科的手技の進歩により緻密な手術にはなりますが、上顎洞底挙上術という手術を併用することにより、インプラントの施術が可能になりました。また、骨幅が狭い患者さんもスプリッドクレストという骨を広げる術式により可能となっています。その他、抜歯したその日にインプラントを施術することも可能になりました。そのような場合には、血液から血小板を抽出するPRP(多血小板血漿)療法、自家骨移植を併用して造骨を図るだけでなく、治療期間も短縮することができます。もちろん、過去にインプラント療法を受けられて、10年、15年と経過してその機能が失われ、インプラントの撤去となった場合も、現在の技術レベルであれば、再度、インプラントを施術し、「咬める」ことも可能になっています。


(文責 (社)日本口腔インプラント学会 指導医・専門医 簗瀬武史)


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