市民新報コラム

インプラントの適応 その2 (2008年2月)

先月号でインプラント(人工歯根療法)の素材、外科的な技術の進歩により、その信頼性はこの20年で飛躍的に高まったことを書かせていただきました。外科的な技術を始めとして集学的な歯科医学の知識は必須ですが、手術の成功およびインプラント手術の安全性の確保には確固たる診断と治療計画が必要となります。

昨年、私の診療室でも歯科・頭頚部用CTスキャンを導入しました。通常、インプラント医は全顎を撮影できるオルソパントモと個々の歯の撮影を行うデンタルX線にて診断しますが、CTスキャンですと3次元的に顎の骨の診断や上顎洞(上顎骨のある空洞)の診査や形状を知ることができます。特に下顎骨には下顎神経や動脈が入っている下顎管が走行しています。それらの位置関係を十分に把握した上で治療計画を立てることができます。当院において施術された21年間のインプラント手術において2例、軽度の下顎神経麻痺が出現しました。神経は圧迫されるだけでも軽度の知覚麻痺が出現する場合があります。特に顎の骨の吸収が進み、インプラントを施術する骨量の少ない場合にはCTスキャンは「第3の眼」となり、的確な情報を教えてくれます。また、CTスキャンのデータから実際の顎の骨と同じ形状の模型を作ることもでき、実際のオペ前に形状の確認を行うこともできますし、そのデータにコンピュータ上でインプラントを施術し、3次元有限要素法という解析方法を使うと、それぞれのインプラントに加わる力や力の分散方向も確認することができます。

CTは歯根の根尖病巣や上顎洞炎などの確定診断においても非常に有用な診断装置ですが、現在、県内に20台弱しか設置されていません。医科と異なり、歯科はCT撮影が健康保険に組み込まれていませんので、腫瘍の疑いの撮影以外は自由診療扱いになってしまいます。医療費抑制の方向ですが、患者さんにとって有用なシステムの健康保険への導入が望ましいと思います。

 

(文責 (社)日本口腔インプラント学会 指導医・専門医 簗瀬武史)


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