市民新報コラム

インプラントと下顎骨 (2008年3月)

ヒトの骨格はいろいろな骨により構成されていますが、体の中で一番硬い骨は下顎骨です。 下顎骨は外側の硬い外皮骨と内側の骨梁(骨の中の血管)に富んだ海綿骨によって作られています。

ヒトは上顎の歯が受け皿になって下顎の歯が動いて食べ物を咀嚼します。また、歯を喰いしばった時には80kgの力が加わります。もしも、脆い骨でしたら、何かの拍子に骨折してしまいます。ところが、骨は負荷が加わるほど、それが刺激になり、血流も増し、骨のリモデリング(骨細胞の入れ替わり)が旺盛になります。実際に抜歯したところの骨は1週間ぐらい、骨梁があるのですが、3ヶ月で骨梁が無くなって、噛まなければ、ボソボソになってしまいます。また、外皮骨も薄くなってしまいます。
また、老化に付随して、ホルモンの影響やDNAの合成がうまくいかなくなり、異常に石灰化して血管が少ない、リモデリングの起こらない硬い骨になりすぎたり、脂肪髄が多い脆い骨になったりします。ご高齢で重度の患者さんの場合は自然骨折を起こすこともあります。患者さんによく体重がやせたから、入れ歯が合わないのですかと質問されますが、このような骨の機序で、最初はピッタリしていた入れ歯が数年たつと合わなくなってきてしまうのです。よく、インプラントを施術する患者さんに骨粗しょう症のことを質問されますが、下顎骨は重度にならない限り、心配はありません。機能させていますから、骨粗しょう症の影響を受けにくいです。インプラントは入れ歯と異なり、咬合力をダイレクトに骨に伝えますから、刺激にもなり顎骨の保全にもなります。下顎骨がしっかりして噛むことは精神的な健康にもつながります。噛むことで筋肉の影響により脳側頭連合野が刺激を受け、情緒の安定に寄与します。ヒトは歩行することにより、手足の骨も刺激が加わります。ただし、骨粗しょう症のお薬を服用している場合は必ず、歯科医師に申し出てください。

 

(文責 (社)日本歯科先端技術研究所 会長 簗瀬 武史)


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