歯は、表層をエナメル質という人体で最も硬い組織で守られています。エナメル質の内側に象牙質があり、象牙質は管を通じて歯髄という神経組織の部屋につながっています。
むし歯は、エナメル質の脱灰に始まり象牙質へと進んでいくのです。エナメル質には知覚がありませんから、触っても痛くありません。しかし、むし歯が進み、象牙質に及ぶと痛みを察知するのです。象牙質の浅い部分までであれば、むし歯になった組織を取り除くだけで修復することが可能です。しかし、深くまで進むと神経組織を取り除き痛みを感じないようにする処置が必要になります。
むし歯は溝に沿って広がりますが、今までは、むし歯の部分とこれからむし歯になるであろう健康な部分まで予防的に拡大して削り取ることが一般的でした。削った歯の型をとって金属の詰め物を作製して、次回の治療で詰め物をセットしていました。最近では、むし歯の部分だけを除去して歯と同じような色の樹脂を詰める一回で終了する方法が進歩しています。必要最小限に留めたむし歯治療が進んでいるわけです。
もちろん、ジッとしていられないくらい痛むようなむし歯や、咬む力が大きくかかる様な部位では、対象にはなりません。これは、全て保険診療でカバーされています。
TVコマーシャルでも"初期むし歯"なんていう言葉が流れています。再石灰化というプロセスが見込めるようであれば、フッ素塗布などで経過観察をし、穴になりそうであれば早めに対処することで、保険治療範囲内で白い歯が維持できるわけです。
一時、Bis-GMAという環境ホルモンが問題となりました。歯に詰める樹脂から溶出するということで歯科界は大騒ぎになりました。しかし、詰めた樹脂の表面をしっかりと研磨することで、その心配もなくなります。歯科医師会などからも"問題ない"という見解が出ていますので、ご安心下さい。
ヤナセ歯科では、予防処置のシーラントには樹脂系のものではなく、フッ素を溶出するグラスアイオノマーセメント系の材料を使用しています。