ヤナセ歯科医院 職員向け 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染対策マニュアル
感染ルート
COVID-19は、咳やくしゃみなどから感染する飛沫感染や直接口や鼻の粘膜に接触する接触感染によって起こります。また、歯科治療時などで発生するエアロゾル被曝によっても感染します。患者さんの唾液の飛散や切削による飛沫拡散が起こるため、飛沫感染や接触感染のリスクが高まります。「エアロゾル」の定義は国により異なる部分がありますが、「気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子」を指します。わが国で感染経路別予防策は、「接触感染」、「飛沫感染」、「空気感染」に分類されています。飛沫感染は、感染患者さんのくしゃみ、咳、会話などで放出された病原体を含む飛沫(5㎛以上)が口腔粘膜、鼻粘膜結膜などに付着することにより感染します。空気感染は飛沫核感染とも表現され、病原体を含んだ飛沫が乾燥してさらに微小な(5㎛以下)飛沫核となり空気中に浮遊し、それを吸入することにより感染します。
閉鎖空間に浮遊したウイルスを除去するために定期的な換気を実施し、複数の患者さんの診療を同時に行わない、一人一人の治療の間隔をあけるなどの医療機関の規模に応じた対応が必要です。さらに、SARS-CoV-2は銅表面に4時間、ステンレス表面に48時間、プラスチック表面に72時間生存していたことから、接触感染を考慮した手袋やガウンの装着、手の触れる場所の消毒や手洗いは極めて重要です。
職員通達事項
1. 患者への問診事項
患者には初診や再診にかかわらず、感染を想定した問診と体温計測が必要です。 現在、患者さまには当日問診表の記入をお願いしています。受診患者が次の事項に該当する場合には、診療の延期も考慮してください。なお、当日問診表ならびに検温を拒否される患者さまにおかれては、当日の診療を拒否をして構いません。
37.5℃以上の発熱の場合は医原性、歯性の発熱に関わらず、歯科口腔外科を併設した高次医療機関もしくは医学部付属病院に転送するので当院での診療室への入室は避けてください。
- 「37.5℃以上の発熱」や「咳」のある方
- 現在、同居する人に発熱・咳などの症状がある方
- 現在、同居する人が自宅隔離を要請されている方
- 過去 14 日以内に、海外渡航の履歴がある方
- 過去 14 日以内に、海外から帰国した人との濃厚接触歴がある方
- 過去 14 日以内に、感染者数が急増している都道府県に出かけたことがある方7)過去 14 日以内に、屋内で 50 人以上が集まる集会・イベントに参加したこと
がある方、等です。
2. 嗅覚障害・味覚障害について
COVID-19は特徴的な症状があります。
COVID-19の症状として発熱等無く、嗅覚障害や味覚障害がみられる症例が増加しています。味覚異常が主訴で受診される患者さまには、嗅覚異常の問診を行い、感染の初期症状である可能性を考慮して高次医療機関へ紹介します。
3.スタンダード・プリコーション(標準予防策)の徹底
- 診療前後の手洗い、マスク、グローブ、ゴーグル(眼球結膜からも感染します)、フェイスマスク、ガウンを始めとする PPE(個人防護用具)、診療後のユニット、ワゴン、レーザー、セレック、器具等の環境表面の消毒を徹底してください。ユニット周りだけでなく、レセプトコンピューターなどの周辺機器も清拭しましょう。定期的に玄関・診療室のドアノブ、スリッパ収納庫の押しボタン、エックス線室のドアノブ、パノラマの取っ手、CTの椅子・固定器具・ベルト等を清拭をしましょう。レセコンやタブレットを介した病院集団感染が発生してます。キーボードやマウスは定期的に消毒してください。これはエックス線室、コンサル室のPCも含みます。従来通り、外来処置後は手袋を外してからカルテ入力を徹底してください。また、患者さんから「見える形」での消毒が患者さんの安心感につながることを忘れないでください。
- 空中のウイルス密度を少なくするために、診察と診察の間の時間的インターバ ルの設定にも配慮してください。当院は待合室、診療室に医療施設用高性能空気清浄装置エアロシステム35MD(エアロ クリーン)を設置しています。毎分35m³の空気清浄能力を持つ、本格的な業務用空気清浄装置。市販の置き型空気清浄機の7~10倍の空気清浄能力があります。また、シャープ置き型加湿機能付き空気清浄機も医局も併せて4台追加購入しています。帰宅時、エアコンは「送風」、オペ室も含めて空気清浄機は稼働させたままで帰宅してください。
- 緊急を要しない外来患者のリコールは当分のあいだ延期してください。
- 口腔内の手術や口腔ケアを行うに当たってはエアロゾルの発生(高速切削器具 や超音波スケーラー等の使用)および被ばくを最小限にする方法を検討してください。吸引装置(歯科用および口腔外バキューム)を積極的に使用しましょう。
4.医局使用に関して
- キャップ・ガウン・マスク等感染の恐れのあるものは持ち込まない。福岡県の病院で医局でのクラスターが発生しています。
- 診療室から医局に戻る際の手指の消毒の徹底
- 出前を取る際、クリーニング等外部来訪者があった場合は退出後、医局のドアノブの消毒を行う。なお、昼食前ならびに終業後の飲食の際はテーブルのアルコール消毒を徹底してください。
- 当院は3階・4階にありますが、1階との行き来はエレベーターを使用せず、階段をしようしましょう。
- 我々、本院の職員だけでなく、患者さま、イーストアレイビルに入居されている企業の皆様のために3階・4階の消毒ならびに衛生資材の準備は当面の間、本院が行います。ペーパータオルのチェック・補充、使用済みの廃棄、トイレドアの消毒を定期的に行うようにしてください。
5.医療機関・福祉施設クラスターの増加
COVID-19受け入れ施設の患者や職員の集団感染が増加してきています。当院職員は毎日の検温など、体調管理にはより一層留意してください。
6.私的な行動制限
不用意な外食・外出を控え、やむを得ない場合でも外食は大勢では行かず、3人までとし、真正面にて対面する外食は避けてください(少人数の現地での合流も禁止です)。政府ならびに地方自治体からの要請を遵守してください。本院の指示を遵守できない職員は戒告ならびに最低1か月の休職処分を命じます。このような時期こそ歯科医療従事者としての矜持と責任と義務を持っていただきたい。
7.職員の感染が疑われる場合
まず、感染予防のために就業時だけでなく、日常からうがい、手洗い、外出時にはマスクを着用することは必須です。また、出勤前は毎朝体温を測定し、自身の体調管理に細心の注意を払いましょう。
- 無理して出勤しない。
- 院長もしくは引間副院長に欠勤の旨を連絡する。
- 責任を以って自宅近隣の医療機関、COVID-19が疑われる場合はセンターに連絡する。
- 感染した場合は陰性が確認されてから出勤する。現状ではCOVID-19が疑われる患者に接触した場合には14日間の自宅待機としている。
※「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針(令和2年2月25日、厚生労働省)」
医師の届出等で患者を把握した場合、感染症法に基づき、保健所で積極的疫学調査を実施し、濃厚接触者に対する健康観察、外出自粛の要請等を行う。
地方自治体が、厚生労働省や専門家と連携しつつ、積極的疫学調査等により、個々の患者発生をもとにクラスター(集団)が発生していることを把握するとともに、患者クラスター(集団)が発生している恐れがある場合には、確認された患者クラスター(集団)に関する施設の休業やイベント自粛等の必要な対応を要請する。
本方針ならびにマニュアル作成に際し、各種文献発出文書を参考・引用させていた諸官庁・団体にこの場をお借りして感謝申し上げます。
- 厚生労働省
- 日本歯科医学会連合
- 日本歯科医師会
- 日本医師会
- 日本医学会
- 日本口腔外科学会
- 日本口腔インプラント学会
- 日本顎顔面インプラント学会
- 日本老年歯科医学会
- 京都大学山中伸弥教授発信による「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」 https://covid19-yamanaka.com/