口腔外科|口腔や顎の腫れや膿

口腔や顎の腫れや膿

顎骨骨膜炎

歯を悪くしたまま放置しておきますと、歯から入った細菌感染が上顎や下顎に波及し、顔が腫れてきます。腫脹発赤だけでなく、発熱も認められ、口が開かなくなったりします。上顎の場合には目が開かなくなることもあります。

顎骨骨膜炎
顎骨骨膜炎の症例

顎下部、頚部蜂巣炎

胸の縦隔炎 蜂巣炎とは、細菌感染が組織間隙に波及した進展性の化膿性炎症のことを言います。本症例では、顎下部から頚部にかけて強い発赤腫脹が認められ、入院下での点滴治療が必要となります。胸にまで進展した場合には、重篤な状態としてとらえなければなりません。原因は長期間放置した悪い歯と全身の免疫力の低下にあり、炎症が消退した後、原因の歯は抜歯しなければなりません。

顎下部、頚部蜂巣炎の症例
顎下部、頚部蜂巣炎の症例

薬剤性顎骨壊死

近年、骨粗鬆(コツソショウショウ)症や癌の骨転移に対して投与されるビスホスホネート製剤の副作用によって引き起こされる顎骨骨壊死が増加し問題となっています。ビスホスホネート製剤には点滴薬と内服薬があり、むろん点滴薬の方が強い副作用を示します。点滴薬には、オンクラスト、テイロック、ビスフォール、アレディア、ゾメタなどがあり、内服薬には、ダイドロネル、フォサマック、ボナロン、アクトネル、ベネットなどがあります。症状としては、写真のように顎骨の周囲が腫れたり、膿が出たり、痛んだり、骨が露出したりします。重症になりますと、顎骨の切除が必要になります。内科や整形外科で、骨粗しょう症注意レベルの患者さんに予防として投与されている場合もありますので、本当に必要な薬かどうかを担当医に確認する必要があります。

薬剤性顎骨壊死
薬剤性顎骨壊死の症例

歯性上顎洞炎

上顎骨には上顎洞と呼ばれる大きな空洞が存在し、人によってはこの空洞の中に歯の根の先端が突出している場合があります。このような人の場合、歯を悪くしますと細菌が上顎洞にまで広がり上顎洞炎をおこします。上顎洞炎は耳鼻科で言う蓄膿症と同じものです。要するに蓄膿症は鼻だけが原因で起こるのではなく歯が原因でも起こります。最近では、歯科用コーンビームCTの普及により、この歯性上顎洞炎が従来考えられていた以上に多いことが分かってきました。長期間放置し悪くしますと、手術が必要になりますので、早目の対処が必要です。

上顎洞粘膜に炎症
歯の根の先端の病巣によりその上にある上顎洞粘膜に炎症を起こしています

外歯瘻

悪い歯を長期間放置しますと、顎骨から皮膚に孔を形成し、顎骨内で形成された膿が皮膚表面に排出されます。この段階で処置を行えばいいのですが、それでも治療をせずに放置しておきますと、膿を出す通路にはしっかりとした壁が形成されホースのようになり、自然には消失しないものとなります。この場合には、原因の歯を抜歯するだけでなく、ホース状のものも摘出する必要があります。

外歯瘻の症例
外歯瘻の症例

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