市民新報コラム

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ストレスと歯の関係(2000年8月)

現代は、様々なところに色々なストレスが隠れています。子供から年輩の方まで、それぞれの立場で種々のストレスを受けているのではないでしょうか。
 以前よりも少しは穏やかになったとはいえ、戦争とまで言われた進学問題・受験に増して難しくなった就職問題、就職した後には、職場における人間関係など、ストレスは多すぎるほど存在しています。昔は良かったなあ感慨深い方も多いのではないでしょうか(私もその一人なのですが…)。
 さて、人間は受けてしまったストレスをどこかで抜かなければなりません。スポーツすることで発散する人、歌うことで発散する人(カラオケのブームはその辺りと関係するのかもしれません)、趣味に没頭することで気分転換をはかる人など様々でしょう。しかし、これらの方法で抜けきれず、歯軋りや歯を噛みしめることで発散?というよりもこらえている人がいます。専門的にはブラキシズムとかクレンチングといいますが、これらは睡眠時に無意識のうちに行っているので、人間の生理的な限度を超えてしまうほどの力でかかることがあるのです。生理的なバランスを崩すと、一種の顎関節症や歯科疾患を引き起こすことになりかねません。少し前までは、歯科医師の間でも、顎関節症の最大の原因は噛み合わせと考えられていたのですが、最近の研究によると、噛み合わせだけでなくそれ以外のものが大きいのでは?と言われるようになってきました。歯軋りすることは、その人発散法な訳ですが、程度によっては疾患を生じかねません。朝起きると口の回りの筋肉が疲れているとか、歯と歯肉との境(歯顎部)がくびれてきているなどの症状を感じたら、歯医者さんに相談されることをお勧めします。軽ければ、歯軋り防止装置などの簡単な装置で解消されることが多いからです。
 歯を守る医師としてはストレスに負けてしまっては悔しいものですから。

 

(文責 医学博士 梁瀬 武史)

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