市民新報コラム

市民新報コラム

世界一の歯医者たち (2016年2月)

週刊誌は記事ネタがなくなると歯科医療の特集を組み、悪評を掲載したり、歯科に関する事件があるとマスコミは過大報道を行います。時には週刊誌でインプラント治療の悪評を捏造したかのような記事を掲載しながら、同じ編集部が歯科医師から何十万円もの掲載料を受領し、週刊○○別冊いい歯医者案内というような広告主体の本を発刊しています。今はインターネット広告など情報が氾濫した世の中ですからこのような事例も仕方ないのかもしれません。

ところでアメリカでは子供たちのなりたい職業のトップ10に歯科医師は入っていますが、日本の子供たちへのアンケートでは100位以内にもはいっていません。むしろ子供たちから嫌われる職業は歯医者かもしれません。これはアメリカの歯科医師の社会的なステータスと倫理観の高さだけではなく、経済的な理由もあるようです。 アメリカはご存知のように日本と異なり、皆保険制度ではありません。民間保険が主体です。そしてアメリカの歯科治療費は非常に高額です。初診で受診して、歯周病の検査、歯石除去、そして歯の詰め物の交換を1本ぐらいすると300~500ドル(36000~60000円)ぐらいの費用がかかります。また、日本と異なり、歯科が細分化され、それぞれ専門医制度になっていますから、日本の歯科治療代の数倍の費用がかかります。

では日本ではどうでしょうか?よく医療費の増加が社会問題や政治問題になりますが、医科の医療費が増加しているだけで、歯科の保険点数は健康保険制度の下でこの30年ほどほとんど変わっていません。ところがそれに比して、歯科と全身的健康の関わりが年々、解明され、また超高齢社会を迎え、歯科医療の必要性は増しています。朝霞地区歯科医師会でも地域の高齢者の方へのフォーマルサポートの一助を担うべく活動をしています。私は健康保険制度を遵守し、国民の健康に寄与している日本の歯医者たちは世界一の歯医者だと思っています。

(文責  神奈川歯科大学 客員教授 医学博士 簗瀬 武史)

2022年

2021年

2020年

謹賀新年with Corona

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年

2008年

2007年

2006年

2005年

2004年

2003年

2002年

2001年

2000年

1999年

市民新報記事一覧にもどる

上にもどる