市民新報コラム

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新中国事情Ⅱ (2006年2月)

昨年の12月に中国・瀋陽市にある中国医科大学の招聘で3年ぶりに口腔インプラント学の講義をしてまいりました。

瀋陽は戦前、旧満州国奉天市として栄えた街です。3年ぶりの中国でしたが、大きく街は変わっていました。歯学部の付属病院は素晴らしい7階建に生まれ変わり、街には高級外車も走り、空港も新しいターミナルに移っていました。

先進国になればなるほど歯科医療は充実するといわれていますが、中国も歯学部は70年代よりありましたが、正式に歯科医師が国家資格となったのは、1990年以降です。そのため、人口800万の瀋陽市でも正式な歯科医師は数百名しかおらず、無資格者が現在でも開業しています。現在、院内感染の問題等も生じ、法整備を進め、正規の歯科医師の数を増やそうとしています。

今回の渡航で私は、中国は資本主義でもなく、共産主義でもない中国主義の国であると感じました。大学の優秀な先生方はアメリカや日本に留学し、日本語や英語もペラペラです。また、テレビを見ても外車や家電製品の広告、深夜にはお色気番組も放映されています。日本のテレビと大差はありません。しかしながら、学問のチャンスを有する人や贅沢できる層は限られています。また、国家が決めたすべての枠組みは明確にされ、その枠組みの中での自由主義です。日本のようにすべての人が自由に発言し、均等にチャンスが与えられてはいない気がしました。しかし、人々の「向上心」へのエネルギーは日本人以上です。高度成長期の日本人のエネルギーに似ているような気がしました。一般の人々は報道されているほど、反日的ではなく、政治と離れて、日本を冷静に見てくれていました。ただし、靖国問題に関しては非常に敏感であり、対処には気配りが必要かもしれません。

また、中国では「美容外科」は歯科医師が施術しても問題なく、歯学部の付属病院に診療科があり、歯科医が二重瞼や鼻、乳房の豊胸術を行っている現状には驚きました。

 

(文責 医学博士・日本口腔インプラント学会指導医 簗瀬武史)

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