市民新報コラム

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口腔内乾燥症(ドライマウス) (2015年2月)

口腔乾燥症は、唾液の減少により、口腔内が乾燥して不快感を感じやすい疾患で別名ドライマウスとも言います。

たんに口の中がネバネバする不快感を伴うだけでなく、虫歯になりやすい、食べ物を飲み込みづらい、口角が切れやすくなったり、唇がひび割れたり、入れ歯が顎の土手とこすれて痛みを伴ったり、舌が痛い、しゃべりづらい、口臭や口内炎や歯周病などが重篤になりやすいなどの症状がでてきます。

加齢、精神的なストレスや神経障害による唾液の減少、抗うつ薬、抗精神薬、降圧剤などの服用による唾液腺からの唾液の分泌抑制、口呼吸、全身疾患であるシェーグレン症候群のよる慢性的な唾液腺の萎縮、頭頚部癌における放射線治療などの原因が考えられます。精神的なストレス、加齢は個人差がありますが、高齢者に口腔乾燥症が多くみられます。

口呼吸をする人はお口の中が乾燥しやすく、就寝時も口呼吸をするため、朝起きると喉の奥の乾燥感や痛みを覚えがちです。唾液が出ることにより、お口の中をきれいにしてくれる自浄作用、また唾液の中には免疫物質や若返りのホルモンなども含まれ、入れ歯を使っている場合は歯茎とこすれないよう潤滑油の役目もしてくれます。

前述したように口臭、虫歯、歯周病を防ぐためにも唾液は必要です。口腔内乾燥症の場合、決め手となるお薬はありません。漢方薬の服用により唾液の分泌を促したり、対症療法が中心になりますが、うがい薬によるこまめなうがいや人工唾液、保湿含有のうがい薬などでなるべくお口の乾燥を防いだり、特に冬は部屋も乾燥しやすいので湿度の調整やこまめな水分補給もひとつです。

ストレスが原因の場合はその原因の除去と唾液腺マッサージにより唾液の分泌の増加を試みます。お薬が原因の場合はお薬の見直しや服用量の調整を主治医と相談します。また、口呼吸が原因の場合は舌の運動、減量、就寝時のマウスピースの使用などなるべく鼻呼吸をするような方向性を模索します。

(文責:神奈川歯科大学客員教授 医学博士 簗瀬 武史)

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