市民新報コラム

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インプラントへの誤解(2001年7月)

未だ、インプラント(人工歯根)療法に対して、「痛い」「失敗」「長持ちしない」という偏見が存在するのは悲しいことです。確かに10数年前のインプラントは骨との結合する様式が現在のインプラントと違うため、耐久性に問題がありました。現在は、骨と強固に結合するため、インプラント単体に被せることができ、全く天然歯と同様に使用することができます。

私は、インプラントの利点は、咀嚼(そしゃく)能率の回復や審美性の回復と同時に不運にも高齢になる以前に歯を失い、入れ歯で悩んでいた患者さんの精神的なコンプレックスを払拭できることにもあると思います。また、入れ歯の安定が悪い方にインプラントを補助的に使うことにより、入れ歯の維持を回復することもできます。 インプラントは利点ばかりのようですが、健康保険外の治療であると同時に患者さんの骨や全身状態により施術できない場合もあります。 ただ、失敗の伴う危険な治療ではありません。世間ではインプラント絡みの医療訴訟もあるようですが、それは未熟なインプラント医が、事前のインフォームド・コンセント(説明の上での同意)を怠ったり、適用症の診断を誤ったり、技量を越えた症例を施術した事例が大半です。施術中は麻酔下で行いますし、大きな症例になれば、多少の腫れ・痛みは術後でますが、薬によりコントロールできます。むしろ、親知らずの抜歯の方が、腫れ・痛みはでやすいと思います。
以前は歯科医の中にもインプラント反対派はいましたが、現在では認知され、各大学病院にもインプラント診療科が設置され始めています。ただ、インプラント(人工歯根)が永久的なものか?という質問に対しては、NOと答えます。インプラントは人の骨の中に植えるのですから、将来的なその人の骨・全身状態や口腔内管理の程度により、予後は左右されます。ただ、きちんとした施術や管理が行われれば、長年に渡り第3の歯として機能させることはできます。

(文責 医学博士 簗瀬 武史)

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