多くの皆様がご自宅で穏やかな新年を迎えられていることと存じます。帰省できない、療養中など様々な理由で寂しいお正月と感じる方もいらっしゃるかと案じています。
昨年からの新型コロナウィルス感染蔓延は社会に恐怖と大きな影を落としました。海外ではワクチンの供給が始まりましたが、日本では2月からと言われています。
奈良時代に「痘瘡」が海外から日本に侵入し、江戸時代には毎年のように流行し、多くの人々の命が失われました。また、同じく江戸時代にはコレラが日本に侵入し、多くの人命が失われました。ジェンナーが牛痘を発見したのは1796年、日本に伝来したのは1810年ですからその当時の人々は生活の中で「予防」に心がけていたのだと推察できます。
新型コロナウィルスもワクチンや治療法も徐々に確立しつつありますが、一人ひとりが生活様式の改善や感染を蔓延させないという社会への責任を負うことが大切だと思います。
年末、コロナに慣れてしまったのか多くの人々が街に溢れる光景が散見されましたが、自らが感染を防ぐことにより基礎疾患をお持ちの方やご高齢者を守ることが大切だと思います。今は「日本2021」のために「ストレス」や「欲望」と戦う時なのです。武士道は「惻隠の心」を規範としています。弱い人の立場に立ち、思いやりの心を持つことです。我々、歯科医療界も院内感染の危険が報道されましたが、12月24日現在、日本では一例も報告されていません。とにかく我々はよく手を洗います。うがいもします。当然、器具や治療台周囲の消毒滅菌を行います。すべての皆さんが理性ある生活を行い、手洗い、うがい、時には洗顔まで行い、徹底することが一番の予防であり、ご家族やご友人そして日本社会を守ることであると信じています。また、不幸にも周囲の方が感染された場合は思いやりの心を持ち、2週間後にお会いした時には笑顔で迎えてあげることも大切なことだと思います。
(文責 神奈川歯科大学教授 医学博士 簗瀬武史)