市民新報コラム

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唾液と健康(2000年11月)

けがをした時、つばで舐めれば兵器と言われるかと思えば、人につばをはくような人だと表現される唾液について今回お話します。
 唾液は耳下腺・舌下腺・顎下腺にて一日800~1500ml分泌されます。唾液はお口の中で非常に有効な働きをしてくれています。
 まず、第1番目に唾液自体の流れは歯の表面の細菌を洗い流してくれたり、その中のムチンはお口の中の乾燥を防ぎ粘膜を保護して、食べ物を飲み込みやすくしてくれます。
 第2番目に唾液中のα-アミラーゼは澱粉を消化してくれます。しかしながら、食べ物がお口の中にあるのはごく短時間なので消化されるのは意外と少量です。
 第3番目に唾液中の蛋白質分解酵素のリゾチウムは細菌を攻撃してくれますし、チオシアン酸イオンは細菌の中に入り込み攻撃を助けます。免疫グロブリンなどの蛋白抗体は虫歯の原因菌を破壊してくれます。
 このように唾液の成分は虫歯をつくるばい菌たちをやっつけてくれます。
 第4番目に唾液は発がん性物質を無毒化するともいわれていますし、バロチンは若さを保つ作用があるといわれています。
 このように唾液はお口の中で大切な役目をしてくれているわけですから、たくさん分泌されたほうが有効です。そのためにはよく物をかみましょう。噛むことにより分泌量は増えます。また、ストレスも分泌に影響を及ぼしますから、当然少ないほうがいいわけです。ただし、唾液は睡眠時は分泌されません。ですから、歯科医院で「朝の歯磨きも大切ですが、寝る前に必ず歯磨きしてください」と教わるのです。虫歯も歯周病も睡眠時に進行するといっても過言ではありません。
 ところでシューグレン症候群に罹患すると唾液の量は減りますし、頭頚部の放射線治療や唾石症も唾液減少の一因になります。このような場合は口腔内管理(例えば歯磨きやうがい)に気を使わなければなりません。人の体に必要な魔法の液体「唾液(つば)」をたくさん出して健康になりましょう。

 

(文責 医学博士 梁瀬 武史)

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