市民新報コラム

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中国事情(2003年1月)

先日、中国の大学の歯学部で口腔インプラント学の講義をするために渡航してきました。
中国は、現在、法律を整備中で開業医は歯学部を卒業した歯科医師と無免許の歯科医師もどき?が混在しています。患者さんも治療の値段で歯医者を選ぶため、治療代の安い無免許の開業医もそれなりに繁盛しているわけです。しかしながら、衛生面ではかなり問題が生じているようです。また、中には歯科医師で美容整形や豊胸術も手がけている開業医もいる状況です。現在、中国政府は歯学教育の整備を急速に進めているため、勉学熱心な学生や歯科医師が大勢おりました。私の講義の後の質問も初めてインプラントを学ぶにしては非常に掘り下げたものでした。治療全般の技術は日本より遅れていますが、あと10年もすれば、大学病院のレベルは日本とさほど変わらなくなると思いました。特に私が感じたのは中国のこの9年ぐらいの進歩です。9年前に観光旅行で訪れたときは車道の脇は自転車の隊列が走り、人民服の人もいましたが、今ではタクシーが数多く走っていました。これは彼らが向上を求めて、努力している賜物かもしれません。
知人のH教授は40代前半、助教授時代に日本留学中、1年間滞在を延ばすために夜はラーメン屋さんでアルバイトをしながら、研究を続けたそうです。ラーメン作りは得意と笑いながら話す彼は穏やかな教授でした。私も含めて日本人が彼らのように向上のために労を厭わず、努力することが必要のように感じました。また、よく中国人の反日感情が話題になりますが、若者は日本の歌を聞き、むしろ日本へのあこがれをもち、私の知る人々は親日的でした。個人レベルと国家レベルでは、政治が絡みますから、日本への評価も異なるのかもしれません。
感慨深い良い旅でしたが、中国北方航空機が北朝鮮上空を飛行しているときは、拉致問題を痛感し、複雑な気持ちになりました。豊かで平和な日本を再考することも必要かもしれませんね。

 

(文責 医学博士 簗瀬武史)

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