市民新報コラム

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口腔癌(2019年2月)

口腔癌とは、口の中に出来る癌のことです。
厳密には、舌前2/3・歯肉・頬粘膜・硬口蓋・口底に出来たものを示し、発生頻度は全ての癌の中でだいたい1%程度であり、男性にやや多く、60歳前後の方に多いといわれています。

わが国においては舌に発症する舌癌がもっとも多く、その中でも舌の側縁部に発症することが多いといわれています。その原因として、歯のとがりや・不適合な入れ歯や被せ物から舌に機械的な刺激を受ける事や過度な喫煙・アルコールが挙げられます。  
舌は口腔機能や感覚の多くを司っている大切な器官です。 もしも舌の可動性が失われた場合、飲食物を咀嚼し飲み込む機能や、言葉を発する機能に影響を及ぼすことがあります。

口腔内の病変の中には、見た目が口腔癌に類似した物がいくつかあり、目で見て触っただけでは正確な診断をする事が困難なため慎重な診査や検査が必要になります。よく鑑別に挙がる病変は口内炎や口腔白板症があります。中でも、口腔白板症という口腔粘膜に生じた摩擦によって除去できない白色の病変が発症することがあります。口腔白板症は前癌病変に分類され癌化率が4.4〜17.5%と報告され正確に診断するには生検等による病理組織検査が必要です。そのため、口腔癌が疑われる場合には、大学病院の口腔外科や癌を取り扱う病院へのすみやかな受診が必要です。      
口腔癌の特徴として発症してから憎悪するまでには疼痛が比較的少なく、口腔内の潰瘍などの病変の範囲が急激に増大し腫瘍周辺に硬結と呼ばれる硬いしこりを伴うことがあります。 もしも、あなたのお口の中に口内炎用の軟膏を長期的に塗っていてもなかなか治らないような口内炎がある場合は、それが舌癌や頬粘膜癌である可能性があります。また、歯を抜いた後の創傷の治癒が遅れている場合、それが実は歯肉癌であったという事もあります。
解剖学的に頸部のリンパ節に転移をしやすい口腔癌は早期診断・早期治療が大変重要です。

(文責 ヤナセ歯科医院 日本口腔外科学会認定医  伏屋 真梨恵)

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