市民新報コラム

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光学印象とCADCAMシステム(2019年4月)

歯科の世界もデジタル化が急速に進んでいます。エックス線もフィルムからデジタルの時代になり、患者さんへの説明もカメラや顕微鏡で撮影した写真を基に治療の説明を行うことが多くなってきています。

皆さんが歯科治療で不快に感じることのひとつに「歯型を取る」ことがあります。アルギン酸やシリコン印象材を使用して歯型を取りますが、ご高齢の方や嘔吐反射の強い方にとっては難行となってしまいます。
最新の技術のひとつに「光学印象」があります。これは印象材を使用して歯型を取るのではなく、3Dカメラ(スキャナー)で当該歯や咬み合わせを撮影し、そのデータを基に口腔内をパソコン画面上で再現し、CADにより被せ物や詰め物を設計してCAMソフトによりミリングマシーンでセラミックやジルコニア、レジンのブロックから修復物を削りだして製作します。削りだされたセラミックやジルコニアは天然歯に近似するように形態修正や色付けされ、約1300度ぐらいで特殊な窯で焼き上げます。
当院にもトリオスという口腔内スキャナーとセレック2という口腔内スキャナー、ミリングマシーン、窯が連動したシステムを導入しています。セレック2は製作まで自院で完結できるシステムですが、3歯ないし4歯までの大きさの修復物しか製作できないので大きな修復物はトリオス2でスキャンしてデジタルデータを送信し、歯科技工士が製作することになります。このような光学印象システムはヨーロッパが進んでおり、両システムもヨーロッパのメーカーであり、CADCAMシステムの普及率はスイス20 %以上、ドイツ15%以上であり、日本と比較すると歯科医院普及率が非常に高いのが特徴です。
また、光学印象ですと歯型の模型を制作することも不要ですので印象材や石膏模型といった医療廃棄物も軽減することができます。歯科技工所におけるCADCAMシステムのレジン修復冠が一部、健康保険で認可されているのが現状です。

(文責:神奈川歯科大学客員教授 医学博士 簗瀬 武史)

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