市民新報コラム

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インターネットの落とし穴 (2013年6月)

近年、インターネットにより世界中、どこにいても様々な情報を世界中の人々が入手できるようになりました。また、調べ物も図書館に行かなくてもパソコンをクリックするだけで済むようになりました。多くの人々が平等に「知識」を享受できるようになったのは一大革命です。

歯科の世界もインターネットで大きく変わり、患者さんが手軽に歯科治療の情報や歯医者探しをできるようになりました。一般の皆さんが歯科医療の重要性を知り、積極的に予防や治療をすることは健康の維持にも大きく寄与します。

先日、私の診療室にインプラントの治療相談の患者さんがお見えになりました。前医の先生に治療情報をいただきたいと思い、インターネット検索をしたところ、その医院のホームページを見つけました。そのホームページには大きく「インプラント98000円より」「治療無料相談」の文字が記載されていました。一般的な治療費用よりもかなり安価なため、患者さんに伺ったところ、あなたの骨は難しいから別の手術もしなければならないからと言われて、一般的な診療費用よりも高価な費用をお支払になっていました。

インターネットは一方的な情報であり、検証された情報ではありませんが、アピール性は非常に高いです。もちろん、患者さんの歯科医療への理解を啓発するような立派なホームページもありますが、一方では数日の海外研修が留学になっていたり、安易に取得できる怪しい学会の専門医の掲示やはたまた、熟達を装うかのような水増しされた年間手術数も見受けられます。

歯科医院のホームページの内容も審美歯科やインプラントのことばかりが見受けられます。一昨年より厚生労働省も医科・歯科のホームページへのガイドラインを提示し、規制をもうけました。今後はそのような怪しいホームページは淘汰されていくものと思いますが、患者さん自身も安易に情報を鵜呑みにしないことが重要です。

(文責 神奈川歯科大学客員教授 医学博士 簗瀬武史)

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