去る9月3日、志木市ふれあいプラザにて朝霞地区医学会総会(会長吉野守彦)が開催されました。本年は「東日本大震災への各方面の取り組みと今後の課題」というテーマで3時間30分におよび、11名のパネラーの発表とその後パネルディスカッションが行われました。
パネラーは東日本大震災の救助・救済で派遣され、朝霞地区にて従事する警察官・認定救急救命士・自衛官・市役所職員・医師・薬剤師・栄養士・看護師の職種の方々で、私も警察庁派遣にて12日間宮城県で災害時死体検案支援および身元確認作業に従事した歯科医師として発表およびパネルディスカッションに参加しました。
それぞれの方々の東日本大地震へのかかわりは、お亡くなりになった方の収容・身元確認から被災された方々の救助・透析や巡回診療などの医療・栄養管理・健康管理、また患者さんの避難区域県外への移送、治安維持、寸断された市民サービス・行政への復旧と多岐におよびます。パネルディスカッションではそれぞれの活動への質問が会場よりなされ、支援体制や政府の指揮系統の不備、また縦割り行政の弊害などかなり熱気をおびた議論が交わされました。埼玉県は首都直下型地震が起きた際は地政学的にも東京からの被災者の受け入れ先になりますし、また朝霞駐屯地もあり、なおかつ荒川などの水路もあるため、救助活動のベースとなる県であると思います。医師会を中心に医療・行政・警察・自衛隊等が平時からのネットワーク作りを行うことが、非常時の迅速な救助・救済活動につながります。
今回、被災された方や災害協力に従事された方々の精神的な疲労や負担は多大でありPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療、地域における非常時の燃料・食料の供給確保など準備しなければならないことは山積しています。これを機会にさらに臨床心理士や地元の商工会議所や業界団体との綿密なネットワークが形成されることを願ってやみません。
(文責 神奈川歯科大学客員教授 医学博士 簗瀬武史)