市民新報コラム

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学校医(2013年3月)

朝霞地区歯科医師会では朝霞・新座・志木・和光の4市の幼稚園・保育園から高校までの学校歯科保健に協力し、各校に学校歯科医を配置しています。

学校歯科医とは、学校保健安全法で定められている大学以外の学校で歯科健診や歯科保健指導などの職務を非常勤で行う歯科医師のことです。
歯科検診は虫歯の検査といったイメージが強いですが、虫歯だけでなく、歯肉炎やかみ合わせ、顎関節の異常の有無まで診ます。また、近年では、児童虐待の発見にも役立っています。特に児童虐待のひとつであるネグレクト(育児放棄)のお子さんは健康状態も悪く、特に多数歯におよぶ虫歯や重度の歯肉炎が認められますし、お口の中の傷で身体的虐待が発見される場合もあります。またわれわれは検診だけでなく、予防のために歯磨き指導を行い、児童・保護者の口腔内管理へのモチベーションを高めています。

私も小学校の学校歯科医を勤めていますが、困ったこともあります。学校検診は通常、保健室で行いますが、やはり診療室と同じ明るさや体位ではありませんし、最近の歯の詰め物である光重合レジンは非常に審美性にすぐれているため、修復歯は確認しづらいことがあります。また、歯の表面のエナメル質のみが限局的に小さな虫歯になった場合、検査結果は虫歯でも、主治医は再石灰化を期待して経過観察を行う場合もあります。よって、検査結果を見て保護者が思う「虫歯」や「治療」の概念が異なってしまう場合もあります。時には学校検診への不信感となってしまうのは残念なことですが、学校検診の目的は、疑わしきを歯科医院にて確定診断し、必要な場合は治療を受けるきっかけであることをご理解ください。歯科検診結果は養護教諭とまとめるだけでなく、学校保健委員会にて報告し、アドバイスを行っています。児童は学校医が健康診断を行い、学校薬剤師が水質検査等を行い、良好な教育環境の維持に努めることにより守られています。

(文責 神奈川歯科大学客員教授 医学博士 簗瀬 武史)

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