これは厚生労働省が提示している超高齢社会への医療・社会の対応目標を掲げたものです。
2025年には戦後のベビーブームで生まれた団塊の世代が75歳を迎えます。認知症高齢者は462万人、軽度認知機能障害(MCI)高齢者は400万人いると推定され、軽度認知機能の方が年間10%、約40万人以上アルツハイマー型認知症に移行しています。根本的な治療薬がない現在、このままの数字が続けば、健康保険が崩壊するか?国民の医療負担が急激に増加するか?になるのは明らかです。また、健康寿命と平均寿命の差が10歳以上あることも多くに知られています。
新オレンジプランでは認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指すことが提唱されています。
その詳細は認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進、認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供、若年性認知症施策の強化、認知症の人の介護者への支援、認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進、認知症の予防法・診断法・治療法・リハビリテーションモデル・介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進、認知症の人やその家族の視点の重視です。「認知症の治療」という狭義でなく、行政、各種医療職、介護職、一般の市民社会が一体化しなければ、これらは推進できません。
朝霞市、新座市、和光市でも在宅医療や介護連携を目的とする多職種による推進会議が開かれるようになってきています。また、新オレンジプランでは認知症の専門医が少ない現状を改善し、早期診断・早期対応を軸とするためにかかりつけ医認知症対応力向上研修や認知症サポート医養成研修の受講者数を増やし、認知症へより適切な医療が行う方向性も示しています。また、認知症疾患医療センター等の整備認知症初期集中支援チームの設置を行い、認知症対応を向上させようとしています。
(文責 神奈川歯科大学 客員教授 医学博士 簗瀬 武史)