市民新報コラム

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保険外診療について (2002年8月)

 皆さん、歯科治療というと「お金がかかる」というイメージをお持ちですが基本的には診療は全て健康保険でまかなう事ができます。ただ、「歯科診療」は、虫歯・歯周病・抜歯などの「治療」と歯に被せたり、入れ歯を入れたりする「機能的・審美的再建」と大きく大別されます。基本的に歯科開業医のほとんどは保険医ですから「治療」「再建」の大部分は健康保険診療の中で行うのですが、「再建」の部分に関して見た目を重視したり、2次的な虫歯の罹患やかみ合わせを考慮した被せ物・違和感の少なさや残存歯の負担軽減を考慮した入れ歯の種類によっては健康保険診療の枠組みに組み込まれていないものがあります。また、「治療」でも特殊な膜・薬剤・骨補填剤を使用し、歯周病で失われた歯槽骨・歯周組織の回復を行う手術やインプラント(人工歯根)施術の場合は健康保険で行うことはできません。では、「一番いい診療」とはどんな治療なのでしょうか?歯科医はプロですから患者さんが望まれればどんな治療も行えますが、私は、歯科医の知識・技術、通院できる期間や恐怖心の克服・治療への理解度などの患者さんの都合、また患者さんの家庭経済において歯科治療にかける御予算がちょうど重なり合ったところが「一番いい診療」だと思います。つまり、健康保険・自由診療に関わらず、歯科医のアドバイスの元にご自身がうける歯科診療をご理解し、その上ではっきりと希望を歯科医に伝えることが大切だと思います。迷っている場合は、最初は健康保険診療で治してみるのも一案です。また、費用をかけることに不安を覚えた場合は、歯科医の治療に対しての保証期間やだめになった場合の再治療の方法・費用についても質問しておけば不安を払拭することができます。ただ、「歯」は機能させる道具です。健康保険外診療でどんなに良い物をお口の中にいれても毎日のブラッシングと定期検診をしなければ朽ち果ててしまうことをお忘れなく。

 

(文責 医学博士 簗瀬武史)

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