市民新報コラム

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インプラント療法と健康(1999年9月)

近年、社会的な認知をされた歯科治療に『インプラント療法』があります。これは、歯を失ってしまった顎の骨の中に人工歯根を埋め込み、それに被せ物を行い、歯の代用とする治療方法です。従来の治療法ですと、固定式のブリッジにするために歯を失った部位の両側の歯を削って被せなければなりませんでした。インプラント療法ですと人工歯根を埋め込むことにより、健全な歯を削らないですみます。多数歯におよぶ歯の欠損も人工歯根を埋め込むことにより、取り外しの入れ歯にしないですみます。咀嚼(そしゃく)能率の回復や審美的改善だけでなく、『入れ歯にしないですむ』ことによる患者さんの精神的な回復も望めます。また、顎の骨が痩せていて入れ歯が合わない場合も人工歯根を利用して入れ歯のガタツキを防ぐことができます。『顎の骨に埋め込む』というと大変な手術を想像してしまいそうですが、局所麻酔で無痛下で行いますし、術後の痛みや腫れも抜歯と同じくらいかそれ以下です。しかしながら、現在は健康保険の適用外の自由診療扱いですので経済的負担は大きくなります。また、糖尿病や循環器系疾患等の患者さんによってはインプラント療法の施術が行えない場合もあります。顎の骨の状態もインプラント療法の施術の適否の基準ですが、現在は術式の改善によりかなり適用範囲は多くなってきました。もちろん人工歯根も天然の歯と同じように『磨けているブラッシング』と『定期検診』は不可欠です。患者さんの心がけ次第で予後は左右されます。歯周病は、インプラント療法にとっても大敵なのです。人工歯根は『咬む』ための道具です。十分な手入れをしてあげなければなりません。いずれにしましても、患者さんにとってはインプラント療法は経済的な負担と手術という二つの困難を乗り越えるわけですから歯科医師に相談の上、理解されることをお勧めします。その前にまずは『御自分の歯』を大切にしてください。


(医学博士、日本口腔インプラント学会認定医 簗瀬 武史)

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