市民新報コラム

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精密な根管治療 (2016年7月)

歯の神経が死んでしまったり、歯の根の尖に膿が溜まってしまった場合は感染根幹治療を行います。根の管を拡大して、汚染物質や感染した歯質、そして根の管の消毒を数回行い、無菌的に根の管に根管充填材を根の先まで緊密に詰めます。文章で書くと簡単な治療ですが、これは歯科治療の中では難易度の高い治療です。

統計によると日本での根管治療の成功率は55~70%と言われています。たとえば、上顎第1大臼歯は一般的に3根管(神経の通っている根の管)と言われていますが、実際は近心頬側根に2根管あり4根管である比率は40~60%とも言われています。保険診療では、一般的にデンタルエックス線撮影によって診断や治療の結果、予後観察を行いますが、これは2次元的な画像解析であり、正確に根管形態や数を把握するにはCT撮影が必要です。しかし、健康保険診療では、一部の症例を除き、コーンビームCT撮影は保険適応外になり、CT撮影を行うと根管治療すべてを保険外診療で行わなければいけなくなります。
また、CTと同様に根管の把握に有用な20倍に拡大できるマイクロスコープ(手術用顕微鏡)での根管治療も同様に一部を除き、保険外診療となってしまいます。 日本の健康保険治療の治療費用は費用が数千円です。欧米諸国では根管の数にも寄りますが、治療費用は10万円~30万円ほどかかります。そのために欧米では高価かつ高度な診断用機器や治療用機器を用い、充分な治療時間をかけた根管治療を行うことができます。 欧米ほどの費用はかからずに日本でも健康保険外の根管治療は行われていますが、その違いをなかなか患者さんが理解されない場合も多く、浸透はしていません。白いセラミックを被せるためにはその基礎となる正確な根管治療は重要です。歯を失ってもインプラント治療を選択すれば、天然歯と同様に咬むことができますが、天然歯を失わないようにすることの重要な選択肢の一つが精密根管治療です。

(文責 神奈川歯科大学客員教授 医学博士 簗瀬 武史)

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