市民新報コラム

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顎関節症 II(2005年09月)

「顎関節症」の患者さんの主訴や症状はさまざまです。朝、起きると顎が痛み方、大きく口を開けることができない方、お口の開け閉めのたびにガクガク音がする方、物が食べづらい方、頭の横や首・肩まで痛みが拡がり日常的に不快感を感じる方などです。

その原因は下顎骨の関節頭の変形・下顎の位置の変化に起因する関節円板と呼ばれるクッションの変位・下顎位や歯並びが悪いために就寝中の歯軋りや喰いしばりがスムーズにできないため、咬むための筋肉を使いすぎてしまい、過度に筋肉が緊張し、筋肉の伸縮性の喪失などさまざまです。

まず、急性症状が起きている場合はスプリントやナイトガードというマウスピースを使い、痛みを軽減させます。その後の治療において大切なことは、顎関節症を起こしている原因を特定することです。原因によって治療法も大きく異なります。下顎頭などの骨の変形などは口腔外科的な処置が必要になりますし、下顎位の変位や歯並びが原因であれば歯の被せものの交換や歯科矯正で治療を行います。

しかしながら、残念なのは健康保険診療において「顎関節の動き」を診断するための測定装置が特定の機器に限定されていたり、マウスピースも半年に一度しか製作できないなど治療に必要十分な歯科医療が認められていないことです。また、顎関節症のための歯列矯正も健康保険では認められていません。

そのために、顎関節症を「治療→症状の軽減・完治」させるためには健康保険外診療が必要になってしまう場合もあります。また、関節の治療はその症状を軽減させることはできますが、必ずしも症状が完全に消失しない場合もあります。診療に係る費用と時間に対しての患者さんが感ずる治療成果と歯科医側の治療の成果の認識が一致しない場合もでてきます。そのような誤解を防ぐためには、十分に顎関節症の原因を患者さんが理解し、その治療のための費用・時間・その治療成果を十分に理解して、受診される必要があります。

 

(文責・医学博士 簗瀬武史)

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