市民新報コラム

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医療安全の確保(2012年3月)

最近、インプラント治療が話題になっていますが、少々、論点がずれている気がいたします。報道姿勢はインプラント治療の是非を問うイメージですが、この治療法が有用であるのは全世界で施術されていることから明らかです。
治療法の是非を問うより、一般歯科治療も含めて歯科医療において正しい診断と治療に対して医療安全が確保されているかどうかということが重要なことです。レントゲンも現在は被爆量が少なく、より鮮明なデジタルエックス線装置が主流になり、また歯科用CTも開発され、骨の中の構造も以前よりさらに詳細にわかるようになりました。また、有病者の患者さんの場合は医科と医療連携が行われ、詳細な情報に基づいて診療計画は立てられます。一般的な虫歯の治療や歯の神経の治療でも局所麻酔を使用して治療することが大半です。
患者さんによっては治療の恐怖感から血圧や脈拍が平常時よりも高くなっていることが多々あります。注射後は麻酔薬の成分の影響でさらに血圧は高くなりがちです。そのために一時的に高血圧になったり、また心臓の鼓動は高鳴り、虚血性心疾患の発作が惹起される恐れもあります。有病者やご高齢の方は、健常者や若い方と比較して、血圧などの循環動態の急変に対応するための予備力が低下していますから、急性症状や発作が出やすくなります。口腔外科処置やインプラント治療の際には静脈確保を行い、点滴にてお薬の投与を行う場合もあります。点滴をしておけば、もし血圧低下などの不測の事態でも迅速に対応することができます。例えば、血液をさらさらにするお薬を服用している患者さんでは、服用を続けたままで抜歯を行うこともありますが、このような場合、止血のための二重、三重の手立てを用意しておきます。また、院内感染を防ぐために高圧蒸気滅菌やガス殺菌を行い、患者さんやスタッフへ細心の注意を払っています。

このように現在、多くの歯科医は歯科医療安全の確保に努めています。

(文責 神奈川歯科大学客員教授 医学博士 簗瀬 武史)

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