市民新報コラム

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マスコミの歯科観(2003年4月)

先日、週間文春で3週間に渡り、歯科警告?キャンペーンが掲載されましたが、私としては誤解を招く危険性のある記事であると思いました。第1週は予防歯科、第2週は歯科矯正、第3週はインプラントについてでしたが、ごく少数の歯科医の意見を全て正しい見解であるかのごとく断定することは現在の歯科医療への誤解・不信を招きかねません。虫歯のごく初期にむやみに歯を削る必要はなく、再石灰化を期待すべきであるが、現在の健康保険制度において予防歯科への評価および診療報酬は低く、それが予防歯科中心の歯科医療が行われていない現実であるなど正論も掲載されていましたが、臨床の治療技術に関しての記事は個々の症例を考えての見解ではありませんし、自己顕示欲の強い歯科医師の単なる個人的見解に過ぎない短絡的な内容も確認されました。歯科矯正の記事に掲載されていた第1小臼歯の抜歯の問題にしても現在では歯だけを動かすのでなく下顎の位置を制御し、矯正を行なうべきであり、なるべく非抜歯で行うべきであるとの主張は正論であり、文中にでてきたオーストリア・スラブチェック教授の理論は学問的に立証されてきています。私自身も彼の理論を支持し、その元で歯やインプラントの被せ物や矯正を実践していますが、臨床例においては全てを非抜歯で行なうことは無理があり、症例によってはやはり下顎の骨を切らないと正常なかみ合わせに治せない場合もあります。抜歯イコール間違いという誤解を招きかねない記事内容であるといえます。インプラントの記事については私の専門でもあるので次号で記述させていただきますが、やはり4ページ足らずの記事で診療行為の正否を問う姿勢に問題があると思います。現在は書店に行けばもっと歯科診療について詳細に書かれた単行本もありますし、インターネットからも情報は得られます。それを主治医に十分相談・質問し、その回答の上で御自身の治療を理解されることが重要です。

 

(文責 医学博士  簗瀬武史)

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