市民新報コラム

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歯科医療保険制度(2004年9月)

最近、日本歯科医師会の政治献金問題が、新聞紙上を騒がせていますが、モラルに欠けた行動は大変恥じるべきであり、一歯科医師としても大変悲しく思っております。歯科医療制度改革や国民の口腔保健の向上へ別の形の努力を行なうべきだったのではないか?と思ってもおります。

現在、皆様は毎月、高い?健康保険料をお支払いになっています。当然、御自身の疾病は歯科医院での治療も含め、十分かつ満足のいくような医療サービスを受けられると認識されていることと思います。ところが歯科治療においては疲弊化した制度のために、必ずしもそうではなく、その矛盾と戦いながら、患者さんからの要望に答えるため、臨床の場にいる多くの歯科医師たちは日々、努力をしているのが実情です。

現在の歯科保険制度は未だ、「歯医者は虫歯を治すところ」との前提に立ち、「歯科医師が顎関節・口腔を含む咀嚼器官の主治医」との認識には立っていません。患者さんから多い「歯石を取って欲しい」との希望も歯周病の病名の下でなくては保険を使えませんし、歯周病の治療の場合、一回に行なう治療の本数、また、一定の治療の進め方が決められてしまっており、そこに患者さんの御事情や歯科医師の裁量については考えられていません。
また、顎関節症の治療についてもほんのわずかな検査しか保険制度では認められておらず、個々の患者さんの顎位を考慮した正確な治療用の道具も作ることができません。特に顎関節症の患者さんは不定愁訴や精神的に病んでいる方も多く、十分なカウンセリングが必要ですが、精神科や心療内科のようなカウンセリング料も設定されておりません。私自身、再診料(400円)で3時間ほど、患者さんのカウンセリングをしたこともあります。入れ歯やブリッジなど一般治療にもこのような多くの矛盾が存在します。

もしかしたら、「保険でできない」「歯医者は高い」「歯医者は悪いヒト」という構図ができている気がするのは私だけでしょうか?

 

(文責 医学博士 簗瀬武史)

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