市民新報コラム

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入れ歯の大敵(2009年12月)

部分入れ歯なのに食べづらいとか、入れ歯の違和感が強く、はずれやすいなど入れ歯があわない患者さんの主訴は様々です。歯科医と歯科技工士は患者さんの笑顔がみたくて、奮闘しますが、個々の患者さんのお口の中はよい入れ歯の大敵が潜んでいて、我々も悩まされます。

上顎の口蓋(上顎の裏側)や下顎の内側にできる「骨隆起」がある場合は、入れ歯が作りづらくなります。患者さんによっては、骨隆起は骨に悪い腫瘍ができているのではないか?と心配されますが、骨隆起は病的なものではありません。顎骨には大きな力が加わりますが、その力に骨がまけないように骨が増殖して、より強度を増した結果です。ただし、入れ歯の着脱の邪魔になったり、入れ歯が擦れて、痛みの原因になりやすいので、その部分を入れ歯と密着させないように避けて製作します。特に骨隆起が大きい場合には、骨隆起の削除を行う場合もあります。

歯茎にある「フラビーガム」も大敵です。咬み合わせがあわない不適合な入れ歯を長期に使っていると、骨が異常に吸収し、やせてしまい、見せかけの歯茎はあるのですが、内部は骨のないブヨブヨの歯茎ですから、密着させた入れ歯を装着すると、擦れて痛みがでてきます。通常、フラビーガムは避けて製作しますが、フラビーガムがあまりにも大きい場合は、その切除を行い、吸収した骨にみあった正常な歯茎を形成した後に入れ歯を製作する場合もあります。また、「上唇小帯・舌小帯・頬小帯」など頬や舌につながる筋の付着している部位によっては、入れ歯の痛みの原因になりますから、その部分を避けますが、その大きさによっては、小帯形成術を行います。重度の歯周病で抜歯された顎骨は全体的に大きく痩せてしまい、維持に十分な吸着を得ることができません。この場合、入れ歯の裏側にやわらかい医療用のシリコンを貼り付けたコンフォート義歯やインプラント(人工歯根)で入れ歯の維持を図る治療方法が有効になります。


(文責 神奈川歯科大学客員教授 医学博士 簗瀬武史)

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