市民新報コラム

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顎の関節が痛い(2009年9月)

「顎関節症」でお悩みの患者さんにとって朝起きたときや咀嚼時の痛み・不快感は健常な方の想像を超えるものがあります。ひどくなりますと偏頭痛や不定愁訴となって日常生活やお仕事にも支障がでてしまいます。また、患者さん御自身も御自分の症状の相談を耳鼻科・整形外科もしくは歯科にすればいいのかわからず、悩んでしまうことも多いようです。

顎関節症の痛みは顎の関節窩と下顎骨の顆頭がぶつかりこすれてしまったり、側頭骨に圧力が加わったり、クッションの役目を果たす関節円板がずれてしまっていることが原因です。 このようになってしまうのは、骨の形に起因する場合もありますが、不適合な歯の被せ物や加齢とともに咬み合わせが変化したり、歯の欠損をそのままにしていて咬みあわせに狂いが生じることなどに起因します。

最近、特にストレスによる就寝中のくいしばりや歯ぎしりに起因する患者さんが多く見受けられます。現代社会は多くのストレスを感じながら生活をしていますが、大脳皮質のストレスの代償が一種の自己破壊活動であるくいしばりや歯ぎしりになります。こうしてヒトはストレスを軽減しているのですが、就寝中は無意識下ですから、起きているときや咀嚼時には考えられないほどの力を加えてしまっています。当然、個々の歯も痛んだり、磨耗したりしますが、顎を動かす筋肉が過度の緊張を起こし、それは顎や首・肩の筋肉の痛みとなって出現します。

まず、急性症状が起きている場合はスプリントやナイトガードというマウスピースを使い、痛みを軽減させます。

その後の治療において大切なことは、顎関節症を起こしている原因を特定することです。原因によって治療法も大きく異なります。しかしながら、残念なのは健康保険診療において顎関節症の診断のための顎関節測定装置が特定の機器に限定されていたり、マウスピースも半年に一度しか製作できないなど治療に必要十分な歯科医療が認められていないことです。


(文責 医学博士 簗瀬武史)

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