市民新報コラム

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健口・健康元年(2018年1月)

新年あけましておめでとうございます。市民新報の読者の皆様におかれましては健やかに新年をお迎えになられていると拝察します。

最近、私がうれしく思うことがあります。以前から週刊誌やマスコミはどうも政治や芸能のトピックスがなくなると、歯科業界や口腔インプラント治療の問題点を過大に報道し、歯科医療への誤解を与えるような記事ばかりでした。近年、歯科医学の進歩により、口腔と全身疾患の関わりが次々と明らかになるにつれて、いかにお口の健康が大切であるかの解説記事が多くなったように感じます。

私が初めてインプラント治療を施術した32年前はインプラント治療がまだ日本において黎明期であり、大学病院でも施術されておらず、同業の歯科医師たちからもまやかしの治療であるがごとく糾弾されたものです。現在ではほぼ全ての大学病院でインプラント治療は行われ、多くの臨床医も手がける一般的な治療になりました。また、小学校の学校医も20年ほど従事していますが、お子さんたちの虫歯も減り、虫歯予防が格段に徹底されていることを実感します。

日本歯科医師会は80歳で20本以上のご自分の歯を残す「8020運動」を長年推進していますが、この活動も成果をあげ、高齢者の皆さんの歯の残存率も上がってきています。「オーラルフレイル」という言葉、ヒトの虚弱はまず、食べ物をうまく食べられない、お口の細菌による感染、またうまくしゃべれないことによる精神衛生の低下などお口から始まる、つまり、健康維持をするためにはお口の機能を保つことが重要であることも提唱され始めました。ガン患者さんの周術期においても口腔内細菌による感染予防のために歯科医療との連携体制も確立されて来ています。悩むべくはなかなか歯科衛生士・歯科技工士のなり手が少なく、人材不足であることです。より多くの若者達が歯科医療に従事するような世界になれば、より幸せを感じられる気がします。

(文責 神奈川歯科大学客員教授 医学博士 簗瀬武史)

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