市民新報コラム

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心房細動を探せ!! (2019年11月)

エコノミー症候群という言葉を皆さま、ご存知かと思います。飛行機に長時間乗っていて同じ姿勢でいることで、下肢の静脈血の流れが悪くなり、静脈血のよどみができ、深部静脈血栓症を起こし、そこで形成された赤色血栓が肺の血管で詰まり、「肺塞栓症」を発症します。重篤な場合は死に至ります。

当院の静脈内鎮静下でのインプラント埋入手中、心電図に持続性の「心房細動」と認め、循環器内科へ紹介し、「心房細動」と診断されました。
皆さまにとって「心房細動」とは聞きなれない言葉です。ヒトの心臓は左右の心房と心室の4区画にわかれていて心臓は電気信号で自律性のリズムで全身に血を送り込むポンプの役目をしています。心臓の左房には4本の肺静脈が肺から繋がっています。ところが年をとると肺静脈の付け根で電気信号の乱れが起きて、左房がけいれんをおこしたような状態になってしまいます。ヒトの心臓の寿命は決まっていますから、抗不整脈薬で電気信号の変電所の役目をする房室結節機能を調整しなければいけません。左房のけいれんが起きると房内に「血液のよどみ」ができて、左房のついている「左心耳」という部位に「赤色血栓」が形成されてしまいます。そこで作られた赤色血栓が脳へ運ばれて重篤な脳梗塞である「脳塞栓症」を発症します。つまり、心臓でできた血の塊が脳の血管を詰まらせてしまうのです。

脳梗塞を発症すると言語機能、記憶中枢や生活のための身体的機能も損なわれ、肉体的、精神的に健康な生活も失ってしまいます。心房細動が重篤な病気を発症する原因になるのですが、治療法はあります。カテーテルアブレージョンといって左房の肺静脈の付け根を焼却して電気信号の乱れを遮断したり、左心耳閉鎖術を行ったりして「赤色血栓」が形成されることを防ぐことができます。発作性心房細動の40%が何の症状もでないため、気づきません。ですから健康寿命のための合言葉は「心房細動を探せ」なのです。

(文責 神奈川歯科大学客員教授 医学博士 簗瀬武史)

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