市民新報コラム

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起承転結・続(2004年10月)

初診の患者さんに痛みのある歯の過去の治療について御質問や前医での治療についてお伺いしたときに御記憶が定かでない方が大半です。前医で何の説明もされなかったと昔の治療について憤慨される方もいらっしゃいます。
歯科治療は皆様が思っているより複雑ですし、一般の方に御理解していただくのに難しい症例もあります。また、歯科医の説明は専門的になりがちですし、大嫌いな?恐怖?を感じる診療の椅子の上で皆様は平常心を失っていることと思います。

そこで、今回は歯科医での一連の診療を理解するためのアドバイスをいたします。御自分の歯の説明を「起承転結」に当てはめて考えるとわかりやすくなりますし、歯科医への質問もしやすくなります。
「起」は、なぜ痛みがでているのか?なぜ不自由なのか?という原因です。
次は「承」です。「承」は承知するという意味ですから、「起」(原因)からどのような治療を御自身が受診されるのか、歯科医の説明を聞いてその治療を理解・選択して、その決断をする時です。
次が「転」です。「転」は状態が変わったり、また変えたりする意味です。つまり、治療を受診してお口の中の状態が好転していく時期です。歯の状態によってはこの時点で治療法の変更もあります。現在、どのような治療をされているのか十分に患者さんが認識し、好転した喜びを感じる時です。

次は「結」です。一連の治療が終わり、咬めなかった歯も咬めるようになり、見た目もよくなり、さらに喜びを感じる時です。
次は「続」です。「続」は続くですが、治療が続くわけではありません。ただ、歯のお手入れを怠ってしまえば、良好な予後は期待できません。予後が悪ければ、また「結」から「起」に戻ってしまいます。

このように患者さん御自身が、初診から治療終了までの各ステップを理解するようにすれば、「歯の治療履歴」が記憶の片隅に残るようになりますし、歯科医への質問・要望もしやすくなるのではないでしょうか?

(文責 医学博士 簗瀬武史)

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