市民新報コラム

市民新報コラム

歯の麻酔(2004年12月)

新聞等で歯科治療中に局所麻酔によりショックを起こし、患者さんが重篤な状態になることがごくまれに報道されます。口腔外科的な大きな手術を除き、インプラント(人工歯根)の手術や親知らずの抜歯、歯周外科手術、通常の歯科治療などは局所麻酔つまり部分的な麻酔の下で行われます。

麻酔薬は「キシロカイン」を用い、その量は施術にもよりますが、1mL から4mLとごく少量です。キシロカインに麻酔効果がより持続するように血管収縮をさせるエピネフリンが添加された薬を通常使用しますが、心臓の御悪い方や循環動態に問題のある方の場合、体への御負担を軽減させるためにエピネフリンが添加されていない薬を使用します。また、キシロカインにアレルギーの既往をお持ちの方にはアレルギーのテストを行いその使用には慎重になります。

事故を防ぐためには、患者さんが、歯科医を訪れた際の問診時に御病気の既往を正確に伝える必要があります。歯の治療で関係ないだろうとの憶測で歯科医に伝えないと情報不足になってしまいます。特に心臓・脳・肝臓・腎臓・糖尿病などの既往を伝えることは大切です。また、御高齢の方は「体の予備力」が、若年者と比較すると低下しています。「予備力」とは、血圧・脈拍などの変化に対応して、体の恒常性を保つための力です。急に血圧が上がり、脈拍が多くなった時に予備力が低下していると虚血性心不全などの発作を誘発しやすくなります。

ですから、御自身で、血圧や脈拍が、正常だと思っていても、体調が良くなかったり、寝不足の時は歯科医に伝える必要があります。どうしても、我々歯科医は、患者さんのお体の情報が不足がちになりますから、問診や通常の治療時に患者さんからの御協力が不可欠になります。「白衣高血圧症」といって、患者さんが病院を訪れるとその緊張感で日常生活時より血圧は高めにもなりがちです。

歯科治療時は、無口な方でも・・・・おしゃべりになって何でも伝えていただくとありがたいと歯科医は思っているのです。


(文責 医学博士 簗瀬武史)

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年

2008年

2007年

2006年

2005年

2004年

2003年

2002年

2001年

2000年

1999年

市民新報記事一覧にもどる

上にもどる