市民新報コラム

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インプラントの適応 その3 (2008年4月)

インプラント療法の適応について2か月に及び、記述しましたが、今回は全身疾患・合併症の見地から考えてみましょう。

インプラント療法の対象となる患者さんはまれに若年者もいますが、中高年以上の方が大半です。健康な方もいますが、高血圧や合併症をお持ちの方や「予備力」の低下したご高齢の方も多くいます。ただし、健康でないから、インプラント療法を施術できないわけではありません。もちろん、施術できない禁忌症の方もいますが、素人判断であきらめるのは早計な気がします。インプラント療法において患者さんの安全の確保は我々インプラント医にとって最優先ですから、施術の適否に関する主治医との相談、施術中に全身状態の血圧・脈拍などの十分なモニタリング、術後管理は不可欠です。
一般的に高血圧の患者さんも降圧剤も服用されており安定していますが、ご高齢の方は「予備力が低下」しているため、血圧は高くなくても、施術への不安や局所麻酔に起因する血圧や脈拍の「変動」が大きな負担となり、心疾患を誘発する場合もあります。また、脳梗塞や心筋梗塞の既往のある患者さんでも安定していれば施術可能ですが、服用されている血を固まりにくくするお薬を1週間前から服用しないほうが後出血のリスクは軽減します。

当院でも先日、入れ歯でなくおいしく食事をしたいと切望される92歳の健常者の方に施術しましたが、執刀者の私が全身管理者も兼ねる通常の施術でなく、歯科麻酔医が全身管理を行う手術を行いました。心疾患や循環動態変動のリスクを有する方は口腔インプラント医と歯科麻酔医の2人体制下が望ましいといえます。糖尿病に罹患している方は、感染やその予後でのリスクが高まりますから、術前の診断、術後の管理が重要となります。また、その手術の難易度や施術本数により外科的侵襲の程度、施術時間も異なり、患者さんの全身状態とも相関するので、十分な事前説明を受けるようにしてください。

 

(文責 (社)日本歯科先端技術研究所 会長 医学博士 簗瀬武史)

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