市民新報コラム

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入れ歯のお手入れ(2002年7月)

患者さんによっては入れ歯のお手入れをしていなかったり、また残存歯があるにもかかわらず歯を歯磨きしていない方が見受けられます。汚れた入れ歯をそのまま使用されますといろいろな弊害が生じます。
以前も書きましたように高齢者の肺炎の70%は嚥下性(えんげせい)肺炎であるとの報告もあります。高齢者の方がおもちを喉につまらせてお亡くなりになることがありますが、このように物を飲み込む嚥下がうまくいかなくなります。特に就寝中に食道に行くべき唾液が気管に流れ込んでしまいます。口腔内が不潔であれば唾液と一緒にその細菌が肺まで達してしまい、肺炎を誘発します。入れ歯の内側には特にカンジタ菌が繁殖しやすいのです。また、歯を磨かなければ歯周病原菌も活性化します。これらの菌は高齢者の方に重篤な症状を起こしてしまいます。
具体的にはまず、入れ歯を外した後、ブラシでついている食物残渣や歯垢をきれいに落としてください。その後に時には入れ歯の洗浄剤を使うことも有効です。入れ歯はレジンという素材でできていますが、これは吸水性があります。ですから、清掃が足りないと入れ歯独特のくさい臭いも生じます。きれいに洗った後は入れ歯のケースやタッパーの中にお水を張り、その中に入れて朝まで保管しておいてください。水に入れないでそのまま放置しておきますと入れ歯が急激に乾燥して、それが破折や変形の原因になることがあります。
また、入れ歯があたるようになって歯肉の痛みを訴える患者さんの中には入れ歯は適合しているのですが、よく歯ブラシをされていないため、歯周病の急性症状を起こして歯ぐきが腫れ、その結果として入れ歯と擦れて痛みがでていることがあります。歯が残り少なくなってもやはり、入れ歯を外したあとに十分なブラッシングを行うことが残っている歯の寿命を伸ばすことです。高齢者の方が健康な生活をするにはよい入れ歯とそのお手入れをすることが必要ですね。

 

(文責 医学博士 簗瀬武史)

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