市民新報コラム

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骨粗しょう症のお薬 その1 (2017年3月)

乳がんなど骨転移を有するがん患者の方や骨粗しょう症の患者さんの治療に広く用いられているビスホスホネート(BP)製剤というお薬があります。 ヒトの骨は常に新しい骨細胞の骨に入れ替わっていますが、この骨の入れ替わり(リモデリング)には破骨細胞と造骨細胞が関与しています。古くなった骨の細胞を破骨細胞が食べて、造骨細胞が新しい骨を作ります。このお薬は破骨細胞を抑制することにより骨吸収を阻害する薬剤です。特に女性は閉経後にエストロゲンというホルモンが低下するために破骨細胞の働きがさかんになり、造骨細胞の働きが追いつかなくなるために骨代謝のバランスが崩れ、スカスカの骨になり、骨の強度が低下してしまいます。 そのために閉経後に大腿骨近位部(だいたいこつきんいぶ)の骨折(大腿骨頸部骨折:だいたいこつけいぶこっせつ)を起こしやすくなり、そのために重度になると人工骨頭への置換手術をしなければならなくなる場合があります。また、加齢とともに骨の強度の低下は進み、椎体(背骨)骨折も起こし、歩行困難になったりします。 癌の患者さんの場合は新しい骨の造成を抑制することにより、骨の転移のリスクを低下させます。 2003年,BP治療を受けている患者に難知性顎骨壊死(BP-Related Osteonecrosis of the Jaw, BRONJ) が発生することが報告されました。骨吸収抑制薬関連顎骨壊死は現在、ARONJ と言われています。口腔内には800 種類以上の口腔内細菌が存在し、歯は顎骨から植立しているため、歯性感染症(う蝕・歯髄炎・根尖病巣、歯周病)を介して顎骨に炎症が波及し、顎骨が感染しやすい。抜歯などの外科的歯科治療により、その傷口である顎骨が直接口腔内に露出して感染を受けやすいなどの理由があります。また、上下の顎骨にある骨隆起部にARONJが発症し、顎骨壊死を起こす場合もあります。

(文責:神奈川歯科大学客員教授 医学博士 簗瀬武史)

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