市民新報コラム

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ブラキシズム (2006年4月)

ブラキシズムとは聴きなれない言葉ですが、就寝中の「歯軋り(はぎしり)」や「くいしばり」の総称です。ヒトは物を食べるときに無駄な強い力は使いません。瞬時に歯根の周囲にある歯根膜の中のセンサーが歯に加わる圧を感じ取り、それを知覚神経で脳に伝え、脳から運動神経でこのぐらいの力で咬みなさいと指令が出て、咀嚼運動を行います。ですから、沢庵を食べるときはポリポリと、お豆腐ならそれなりの力でうまく食べることができます。

ヒトは生活していくことで多くのストレスが生じます。大脳皮質に蓄積されたストレスを何らかの形で代償しなければ、ヒトはストレスに負けてしまいます。そのためにスポーツをしたり、お酒を飲んだり、音楽を聴いたりしてストレスを発散しようとします。
また、ヒトは自傷行為でストレスの代償も求めます。それがブラキシズム(歯軋り・くいしばり)です。ところが、ブラキシズムは咀嚼運動のときのようにコントロールされた力で行いません。ストレスの強いヒトは自分の咀嚼運動では出さないような強い力で歯軋りやくいしばりをしてしまいます。当然、歯が磨耗したり、歯並びの悪いヒトは特定の歯に強い力が加わり、歯周組織を痛め、歯周病が進行したり、歯槽骨が吸収したりしてしまいます。その結果、歯がグラグラになることもあります。

また、下顎や関節円板といわれる顎関節のクッションがずれているヒトは顎関節を痛めたりします。当然、就寝中の過度の運動のため、顎を動かす筋肉が過緊張を起こし、朝になると口が開かなくなったりもします。ブラキシズムを止めさせることができれば、治療は簡単ですが、ストレスを抜くための大切な代償行為ですからヒトは自分の意思でブラキシズムを止めることはできません。

そこで歯科医はブラキシズムを行っても歯に負担がかからないような歯並びの育成や就寝時に使用するマウスピースを製作したりして、スムーズなブラキシズムが行えるようにコントロールします。

 

(文責:医学博士/(社)日本口腔インプラント学会 指導医 簗瀬武史)

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