市民新報コラム

市民新報コラム

お口の中に入れるもの (2001年10月)

最近、金属アレルギー、環境ホルモンが話題になっていますが、私は意外と患者さんが無頓着でいらっしゃると思います。先日、アトピーの患者さんのアマルガム充填という歯の詰め物を他の素材のものに入れ替えたら、50~70%の方に症状の改善が見られたと発表されました。あくまでも、300人を対象の臨床データですから、もっと研究されなければ結果はでませんが、以前よりアマルガムは水銀が含有されているため、その危険性は海外で指摘されていました。近年、歯の詰め物に使われているレジンという素材もビスフェノールAが含有されているため、その溶出が問題視されましたが、ごく微量のため、現在、人体への影響はないとされています。金属アレルギーの方も全ての金属にアレルギーを起こすのでなく唾液中に溶けた特定の金属イオンに対して反応します。ですから、金がだめな人やパラジウムがだめな人と分けられるのです。アレルギーを起こす原因以外の金属を歯の詰め物に使えば大丈夫です。インプラント(人工歯根)はチタンを主成分にしていますが、これもチタンが酸素の被膜に覆われていて、なおかつ金属イオンが溶けにくいためです。ですから、チタンに対してアレルギーをおこされる方はかなり少ないのです。
アトピーや金属アレルギーでお悩みの方はまず、歯科医で歯の詰め物、かぶせ物にどのような素材が使われているか、診てもらい相談されて対処していただくと好ましいと思います。また、健康な方もご自分の体の一部となるわけですから事前に知っておくことも大切です。一般的に貴金属の合金は安定しており、イオンの溶出も少ないですが、健康保険適用外となっています。神経質になられる方もいらっしゃるかも知れませんが、個人的な意見としては、人の寿命は80~90年ですし、人は有害物質の中で生活しているようなものですから、できることから気を使うことが大切だと思います。まずは、歯周病の改善を!

 

(文責 医学博士 簗瀬武史)

2022年

2021年

2020年

謹賀新年with Corona

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年

2008年

2007年

2006年

2005年

2004年

2003年

2002年

2001年

2000年

1999年

市民新報記事一覧にもどる

上にもどる