市民新報コラム

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摂食・嚥下障がい (2014年4月)

歯科衛生士による口腔ケアサービスや摂食・嚥下(せっしょくえんげ)を主体とした口腔機能の向上やご高齢の方が摂食しやすいように食事に関して管理栄養士へ歯科医師が指示をだすことが重要視され、介護保険が改正されました。歯医者さんは虫歯の先生というイメージがありますが、歯科医師・歯科衛生士が「口腔」の専門家であると認定された画期的な改正です。

摂食・嚥下とは、食物をお口に入れ、咬んで、その後、のどを通して食べ物を飲み込むことであり、栄養を摂取すると同時に食べる楽しみを味わったり、生きている実感を感じる大切な営みです。人はご高齢になると嚥下反射がうまくいかないために時にはご不幸にもお餅が喉に詰まり、お亡くなりになることもあります。

現在、全国で摂食・嚥下障害の方は約80万人いると推測されています。摂食・嚥下障害の原因に歯が抜けたままになっていることや入れ歯が合わないなど、器質性咀嚼障がいと脳や神経の病気が原因で咬むための筋肉に障がいがでている運動障がい性咀嚼障がいがあります。

人はうまく食事ができないと栄養が取れなくなりますから、低栄養になり命の危険も生じます。運動障がい性咀嚼障がいが重篤になると胃ろうといって体外から胃へ直接、栄養チューブを留置してその管から水やミキサーにかけて食べ物を流し込まなければいけません。しかし、できることであれば、食べ物を胃ろうではなく、お口からご自分の力で摂取することが望ましいのは言うまでもありません。

もし、歯科治療をすることで摂食・嚥下が改善されるならば、早期に治療をする必要があります。また、介護されている方が摂食・嚥下の知識を習得することでも改善されます。ご高齢の方それぞれの嚥下能力にあわせて、一口大にしたり、きざみ食や食べ物にとろみをつけたり、軽くミキサーをかけたりするソフト食にすることで摂食・嚥下しやすくなりますし、食材を考慮してメニューを選ぶことでも改善されます。

(文責 日本口腔インプラント学会 指導医・専門医 医学博士 簗瀬武史)

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