市民新報コラム

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日米格差(2002年12月)

最近、患者さんにアメリカと日本ではどちらが歯科治療の技術は進んでいるのかと質問されますが、私は、総体的な医療技術、臨床の技術は日本の方が進んでいると断言します。アメリカは日本のように国民皆保険制度ではなく、民間保険でその保険も掛け金によりランク分けされていますから、高額な医療費をかける人は、素晴らしい施術環境で高度な医療を受けられます。その医療費は日本の数倍以上の費用がかかります。日本では健康保険においても必要な医療を受診できますし、必要十分な医療を望む方には健康保険外の診療と選択の余地もあります。一部のアメリカ人の歯科医が高度な症例を発表しますから、総体的な技術が高く見えますが、アメリカ人の各歯科医の技術レベルは日本以上に千差万別です。臨床技術に関しても、1980年代後半にアメリカでは多くの歯科矯正医が顎関節症で訴訟を受けてから、顎間接症の治療や研究を行う歯科医が激減してしまいました。むしろ、ヨーロッパや日本のほうが進んでいます。審美歯科も見た目重視で生理的・機能的な調和に欠けた治療行為もあります。ただし、アメリカの大学や研究所の基礎研究費は日本より多く、DNAや再生医療などの基礎研究レベルは日本よりも数段進んでいます。
先月、アメリカの学会に私も行きましたが、アメリカ人は子供の頃からの教育・環境の影響からか学会発表のうまさ?は日本人以上です。我々と同じレベルの内容でも彼らは非常にうまく、堂々と発表します。そのような事情からかアメリカのほうが進歩しているように見えるのかもしれません。余談ですが、学会が行われたサンディエゴで、ご一緒した先生方と夕食にステーキを食べましたが一人100ドルかかってしまいました。USビーフとカリフォルニアワインで・・・日本のほうがおいしくて安いと思いました。自信を失いかけている「日本」ですが、医療も食事も?捨てたものではないと再認識している今日この頃です。

 

(文責 医学博士  簗瀬武史)

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