市民新報コラム

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口腔科(2005年01月)

新年、あけましておめでとうございます。昨年も天変地異や国際紛争、また犯罪の増加など人心が乱れることも多い一年でしたが、今年は皆様にとって、よいお年になることを願っております。

ところで、我が国における歯科治療は江戸時代にも行なわれていました。時代劇に出てくる女性の「お歯黒」はタンニンを塗ることにより虫歯予防も兼ねていましたし、入れ歯師も存在し、つげの木を削りだして木製の入れ歯を作っていました。

明治時代になり、官立のドイツ医学を主体とした医学教育の中で歯科医学教育は医科とは一線を画し、私立主導で学校が設立されました。しかしながら、私立主導であったため、昭和二十年以前は歯科大学でなく、歯科医学専門学校としての扱いでした。戦後、虫歯の急増とともに多くの歯科大学や歯学部が整備されましたが、現在では定員削減を行い、歯科医師数の調整の段階になりました。

また、現場においては、虫歯治療主体の時代が長く続きましたが、歯科医学研究の進歩と共に歯周病や顎関節症・不定愁訴との関連性、口腔内疾患と全身疾患との関連性などが解明されてきました。インプラント(人工歯根)など材料の開発により、歯を失った方でも咀嚼や発音においてもその機能を再建することもできるようになりました。

昨今、教育問題や税制においても制度の疲弊化が問題になっておりますが、それは歯科医療も同じだと私は思っております。日本の健康保険制度は国民が公平に医療を受診できる素晴らしい制度ですが、歯科におけるその給付内容は十分とはいえません。顎関節症や心身症の治療やインプラントなどを含む機能再建は健康保険のみで十分な治療をすることはできません。未だ、虫歯の治療主体の考え方から脱却していません。

「歯科」が「口腔科」として十分に認知され、その学問・治療が確立され、健康保険診療を含む医療の現場にて実践されることが、多くの皆様の全身的健康を支えることにつながると信じています。


(文責 医学博士 簗瀬武史)

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