市民新報コラム

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口が渇く!(2003年11月)

壮年期から老年期の患者さんからの訴えでよく言われるのが、「お口が渇く」という症状です。
自覚症状としては、渇くだけではなく、そのために入れ歯が粘膜とこすれてしまい、痛みがでたり、お話や食べ物の咀嚼・嚥下がしづらい、味覚異常、また、口腔内の粘膜や舌が細菌により感染したり、炎症を起こし、激しい痛みを伴う場合もあります。
当然、唾液が少なくなり、免疫能力が下がりますから、歯周病や虫歯も重度になってしまいますし、舌や粘膜の痛みのため、悪性腫瘍を疑ってお悩みになる患者さんもいらっしゃいます。また、唾液の量が減りますから、お口の中が酸素不足になり嫌気性菌が多くなるため、硫黄ガスが産生され、口臭が強くなる場合もあります。

原因としては自己免疫疾患や唾液腺の疾患、お薬を服用されている方はそのお薬の副作用、放射線治療により唾液腺への影響、加齢など様々な原因があります。また、若い方でもストレス(緊張して喉がカラカラになった経験がありませんか?)、ビタミンA・B,鉄分の欠乏などの栄養障害、肝臓や腎臓の疾患が原因で起こることもあります。もちろん原因の除去・治療が必要ですが、原因によっては口腔内乾燥症を完治させることは難しい場合が多いです。
よって、対症療法を行い、口腔内の状況の劣悪化を防ぐことが主体となります。具体的にはガムなどによる唾液分泌の促進、洗口剤によるうがい(ただし、アルコール系の洗口剤は禁止)、一日の水分の摂取量を増やす、口唇・口腔粘膜の保湿、人工唾液の使用、お部屋を加湿して空気の乾燥を防ぐことなどがあります。また、舌の荒れがひどい場合はコーヒーやタバコなど刺激物も避けるべきです。
どうしても、舌に苔のような物(舌苔)がつきやすいですが、これを無理にブラシなどで除去すると激しい痛みが伴うので注意してください。

原因・対処法は様々ですので、お困りの方は内科医もしくは歯科医に御相談されることをお勧めします。

 

(文責 医学博士 簗瀬武史)

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