市民新報コラム

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口腔細菌 その1(2017年10月)

ヒトのお口の中には300から750種類の細菌が常在していると言われています。また、お口の歯をきれいに磨いているヒトと磨いていないヒトに差はありますが、1000億個から1兆個の数の細菌が常在しています。

お口の中の細菌というと皆さん、むし歯を引き起こすばい菌や歯周病の原因となるばい菌ぐらいしか思い浮かばないかもしれませんが、お口の中の細菌はさまざまな全身的疾患に関与してきます。歯周病がひどくなると歯周病原菌は血液の中に入り、全身に回り、血管の中に血栓を作ります。血栓により血管は詰まってしまいますから、心筋梗塞や脳梗塞の原因になりますし、心臓に入り込んだ菌は心内膜炎の原因にもなります。心筋梗塞の既往のある方は血液をサラサラにするお薬を服用されていますが、いくらお薬を服用しても歯周病を放置していたら、お薬を服用する意味がなくなってしまいます。心臓にご病気を抱える方こそ、定期的に歯科医院に通院をして歯周病を予防しなければなりません。

また糖尿病と歯周病の関係も近年、明らかになってきました。 糖尿病は血糖値を一定に保つことができない病気です。ヒトの体はインスリンが働くことにより血液中のグルコースを肝臓や筋肉、脂肪細胞などに溜め込みます。逆にインスリンが足りないと溜め込んだグルコースを放出します。ですから、糖尿病の患者さんは注射などでインスリンを補うのですが、太っているヒト、つまり肥満型の糖尿病のヒトは脂肪細胞からTNF-αという物質がでます。これはインスリンの働きを阻害します。ですから、太っているとお医者さんで少し減量しなさいと指導されるわけです。歯周病が悪化するとこのTNF-αが大量に作られます。つまり、歯周病が悪化すると痩せているヒトでも肥満型の糖尿病と同様に悪化指定してしまうのです。歯周病はサイレントディジーズ(Silent Disease: 静かなる病気)と呼ばれて命を奪いかねない病気なのです。

(文責:神奈川歯科大学客員教授 簗瀬武史)

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