市民新報コラム

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インプラント難民(2019年7月)

QOLの見地からも、壮年期の咀嚼や発音の機能を格段に向上させられるというインプラント治療には大きなメリットがあります。超高齢社会を迎え、オーラルフレイルから高齢者の皆さまの機能低下が始まり、サルコペニアが起き、精神的要素の不調が重なると要介護予備軍に近づくため、その予防が提唱されるようになりました。
また、口腔機能の維持は身体的能力の維持に寄与し、軽度認知障害(MCI)の高齢者のアルツハイマー型認知症への移行を遅延させることができ、認知症予防の重要なファクターのひとつです。
「食べること」「話すこと」は大切です。口腔機能の維持を目的とした予後管理を念頭におき、不具合が生じた際には比較的対処や再治療の行いやすさを配慮したインプラント治療に付随する被せ物や入れ歯などの補綴(ほてつ)様式が大切です。

現況、老後のメインテナンスに支障が出た場合を考えると、インプラント受療者の皆様の高齢化に伴う予後管理やリカバリー治療のバックアップ体制は心もとないのが現状です。多くの歯科医院でインプラント治療は施術されていますが、リカバリー処置を行うに十分な知識と技術を修得した歯科医師数はわずかです。インプラントのメインテナンスやリカバリー処置はインプラント施術を行う以上の専門的な知識を必要とします。残念ながら、日本口腔インプラント学会認定口腔インプラント専門医は厚労省の認める広告できる専門医ではありませんから、看板や広告に記載することはできません。
近年、「インプラント難民」という呼称が使われ始めています。少なくともインプラント治療に携わる歯科医師はインプラント難民を送り出してはいけません。インプラント治療を行っている医療施設や高次医療機関である大学病院の口腔インプラント科や歯科口腔外科へすみやかに紹介することが必要ですし、施術医が問い合わせに対し、正確な施術情報を伝達することは不可欠です。

(文責 日本口腔インプラント学会常務理事 簗瀬武史)

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