市民新報コラム

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歯科医療と全身的健康 (2007年2月)

歯科治療は、歯科医学の進歩により、歯科医の診療範囲は、「歯牙」を中心とした診療形態から、「一口腔単位」の診療へと大きな転換期を迎えています。

従来は口腔内疾患と全身的健康との関連性への認識は低いものでしたが、今後、歯科と医科の連携の確立がより国民の健康向上に寄与するものと思われます。

今回は、高齢者の方が、罹患しやすい嚥下(えんげ)性肺炎についてご説明いたします。

高齢者の方の自立を損なう2大疾患は転倒による骨折と嚥下性肺炎です。嚥下とは耳慣れない言葉ですが、これは食べ物が口腔から胃まで通過することをいいます。肺炎というと風邪をこじらせてなる病気というイメージが強いですが、気管に食べ物、唾液、胃液などとともに細菌が入り込めば、風邪でなくても肺炎を起こします。

人は反射的に食道の方に送り込むのですが、喉の周囲の筋肉の筋力が低下した高齢者や咽頭の手術をした方や口腔内乾燥症の方は、嚥下しづらいです。高齢者の方は食物が気管に入ったときに咳き込んだり、むせて異物を気管から排出する機能が低下していますから、誤嚥したり、窒息したりしやすくなります。

そのために、眠っている間にお口の中の細菌が唾液や食べかすや痰とともに気管に入ることもあります。口腔内を不潔な状態にしていて歯に歯垢(細菌の塊)が付着していたり、入れ歯の洗浄が不完全で、その表面にカンジタ菌が繁殖している状態では、その感染の比率は高くなります。

前述したように高齢者の方は気づかないままに気管に入りやすく、また抵抗力も低下しているためにこの菌が肺に入り、肺炎を起こしてしまいます。気づかないこのような肺炎は肺炎の中で約80%をしめます。

口腔内は歯磨きやうがいによって清潔にしておいてあげなければいけません。また、舌や頬の粘膜にも細菌はたまりやすいため、この部分をやわらかい歯ブラシで掃除するとより効果的です。入れ歯も毎日、洗浄し、清潔にすることが重要です。


(文責 日本口腔インプラント学会 指導医 医学博士 簗瀬武史)

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