市民新報コラム

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問診 (2007年8月)

初診時、歯科医師は患者さんに問診(もんしん)を行い、患者さんの主訴(しゅそ:患者さんの主たる訴え)を伺い、その後患者さんに症状の質問をしたり、診療を行うにあたって必要な事項を得ようとします。

歯科の場合、痛みがあって来院される患者さんが大多数ですから、「痛い!」という表現になってしまいます。しかし、その痛みがいつから?どんな時に?どのような?ということの判別が診断において重要になります。
「いつから?」に関しては、初めてか、何度も一定期間をおいて痛みが繰り返していたのかが重要です。「どんな時?」は食事や上下の歯を咬み合わせた時、冷たいものを飲んだ時、温かいものを飲んだ時、また、朝起きた時、就寝前、何もしなくても一日中痛みを感じているかがポイントになります。「どのような?」ですと、じわっと痛いのか、刺すような痛み、また脈を打つようにズキズキ痛むのかが、ポイントです。その後に視診、触診、必要があればレントゲン撮影を行い、それらの結果を複合的に考え、診断をします。

また、歯科は医科と異なり、血液検査などの生化学検査を通常行わないため、問診時に患者さんの全身的既往歴(病歴)や現在の健康状態についてお聞きすることが、安全な診療を行うための診療情報として重要になります。歯科治療の精神的ストレスは施術中血圧や脈拍も大きく変動させます。また、治療に際して局所麻酔薬を使用することも多いですが、この中には血管収縮薬も入っており、血圧の変動や心臓への負担を招きます。外科処置の際は、一時的に細菌が血流に入り込み菌血症になり、心房中隔欠損など心疾患をもっている患者さんの場合、心臓発作の出現を惹起する場合もあります。肝臓、腎臓に合併症がある場合、処方するお薬に対しての注意も必要となります。疾病によっては、医科の先生から全身状態の情報を得て、それに対処した治療が不可欠ですので、全身状態のことも必ず伝えるようにしてください。

(文責 (社)日本口腔インプラント学会 指導医 医学博士 簗瀬武史)

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