市民新報コラム

市民新報コラム

鼻性・歯性上顎洞炎(2010年3月)

片側の鼻の穴から膿のような鼻汁がでたり、片側の頬の辺りを押すと痛む経験、また、長期におよび抗生物質を服用しても症状が改善しない患者さんはいらっしゃいませんか?
このような症状の場合、「上顎洞炎」が疑われます。上顎洞炎はその原因により「鼻性上顎洞炎」と「歯性上顎洞炎」に大別されます。上顎洞は、眼窩の下、頬の内側の顔面骨の中にある大きな空洞で、鼻腔(鼻の穴)の上部にある「自然孔」で交通しており、鼻腔で吸い込んだ空気は上顎洞を換気してくれます。
「鼻性上顎洞炎」は、「自然孔」が閉鎖してきてしまい、上顎洞の換気も悪くなり、上顎洞内の排出物も出にくいため、上顎洞内で嫌気性菌の活動が盛んになり、上顎洞内の粘膜は肥厚し、膿がたまってしまいます。
「歯性上顎洞炎」は上顎小臼歯や大臼歯の歯根の尖に膿がたまり、その膿の袋が大きくなり、上顎洞底の骨を破壊し、上顎洞内に感染が起きてしまうことに起因します。

日本人は骨格が大きくないため、根尖が上顎洞内に入り込んでいる歯も多く、そのため、感染が洞内に波及しやすいです。また、抜歯した歯根やインプラントの迷入、上顎洞内に骨造成をするようなサイナスリフト(上顎洞底挙上術)ソケットリフト(骨を槌打して押し上げる術式)施術時の感染に起因して発症することがあります。慢性的に経過していくため、患者さんが気づかないままに症状が悪化していきます。重度の場合は上顎洞とつながっている篩骨洞、眉間のところにある前頭洞まで感染を起こしてしまいます。
治療は、耳鼻咽喉科もしくは歯科口腔外科でまず原因を特定し、対処することとなります。その治療法は、嫌気性菌に効果のある抗生物質の投与、口腔内から上顎洞への外科的手術、鼻腔から内視鏡により閉鎖した自然孔を開口する手術があります。いずれにしても異常を感じたら、早めに耳鼻咽喉科、歯科口腔外科でレントゲン診査を行い、診断・早期の治療を行うことが不可欠です。


(文責(社)日本口腔インプラント学会 理事・指導医 神奈川歯科大学客員教授 簗瀬武史)

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年

2008年

2007年

2006年

2005年

2004年

2003年

2002年

2001年

2000年

1999年

市民新報記事一覧にもどる

上にもどる