市民新報コラム

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使命感のある人々(2011年5月)

私は3月にひきつづきゴールデンウィークも宮城県で災害時死体検案支援・身元確認活動を行ってきました。女川・石巻・東松島・名取市は復旧段階にありますが、いまだ、ビルの上に車が載っていたり、道路わきに漁船が放置されていたり、住宅地はまるで空爆をうけたような状況です。

作業では、3月以来、自衛官、消防官、警察官と接していますが、彼らの黙々と被災者の救助、ご不明の遺体捜索・回収をする姿には頭が下がります。自衛官はヘドロやがれきの中でご遺体の捜索や医官・歯科医官は放射能汚染の危険の高い地域で作業に従事しています。また、マスコミでは報道されませんが、警察官の働きも特筆すべきものです。宮城県には北海道から沖縄まで全国の警察官が応援に来ています。検案会場でご遺体が運ばれると着衣を脱がせて、ご遺体の清拭、身元確認につながる遺留品のチェック、また、指紋の採取を行います。
医師が検案を行い、不明な際は歯科医師が口腔内所見の記録を行います。その後、着衣の洗濯、納棺だけでなく、遺族の方々のご相談も警察官が行います。海上保安官は海上に漂う人を救い、不明者の捜索に尽力しています。地震直後の救助、搬送や原発の放水作業では消防官が命を懸けて作業に従事していました。また、市役所など行政の人々も不休で被災者やご遺族の救済活動を行っています。

現場を支えているのはこのような使命感をもった人々です。ご自身が被災者である方も多くいます。先日、高校の同級生の虎ノ門病院谷口血液内科部長と呑みました。彼は原発の作業員の事前の幹細胞を採取することを主張しています。事前に採取しておけば、被爆による造血障害を治療し、作業員の命を救うことができるからです。残念ながら現在までそれは採用されず、命の尊厳を守るために彼は戦っています。この未曾有の災害を乗り切るために私利私欲を捨て、使命感に溢れた人々が尽力していることを忘れてはならないと思う今日この頃です。


(文責 神奈川歯科大学客員教授 医学博士 簗瀬武史)

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