市民新報コラム

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歯周病原菌について(2009年10月)

以前も歯周病のお話は書きましたが、患者さんの中にも、当初は歯周病が老化の一つであると思っていたり、歯石除去やブラッシングだけでは治らない病気であると思われている方が多いです。

そこで、私は歯垢を顕微鏡で見ていただくのですが、歯垢(プラーク)の中の細菌の種類・数にびっくりされます。 プラークの形成は、最初獲得被膜への細菌の付着で始まり、経時的に細菌量は増加していき、集落を形成し成熟していきます。ストレプトコッカスミュータンスは、ショ糖から粘着性物質を産生し、これに菌が付着して8~24時間後にはプラークが形成されます。さらに、経時的にプラークを構成する細菌の種類に変化が生じます。

健康な口腔内に存在する細菌は球菌が多いですが、プラークや歯石が沈着した病的な歯周ポケット内は、嫌気状態となり嫌気性菌(歯周病菌)である桿菌が増えてきます。その後、歯周病菌が悪化するにつれて、強い嫌気的条件を好むスピロヘータ(強い病原性を持つ)が増えてきます。

つまり、〈健常者〉はほとんど菌は認められず、ごく少数の球菌のみです。

〈軽度歯周炎〉は球菌が多数認められます。が、桿菌は認められてもごく少数です。

〈中等度歯周炎〉は、桿菌や紡錘菌が多数認められ、球菌よりも多くなります。

〈重度歯周炎〉は、桿菌や紡錘菌に加え、歯周ポケット内の滲出液を栄養にするスピロヘータが多数認められます。

これらの細菌が、直接歯肉の中に入り込むことは少ないのですが、炎症の強い場合は、細菌が歯肉の中に入り込んでいきます。仮に、細菌が歯肉に入り込まなくても、菌が産生する酵素・毒素・免疫反応誘発物質などが歯肉の細胞を侵し、炎症を引き起こし、歯周組織の状態を悪化させます。近年では進入した細菌が体のほかの部位に病巣をつくったり、血管内に血栓を作るなど全身疾患との関係も究明されてきています。 正しいブラッシングを行って大切なお口の中で「ばい菌」を飼育しないようにしてください。


(文責 医学博士 簗瀬 武史)

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