市民新報コラム

市民新報コラム

咬むことと認知症6 (2014年8月)

「咬む」ということには多くのメリットがあります。 十分に咀嚼をすることにより、食べ物の味がよくわかりますから、味覚が衰えることはありません。また、満腹感は脳で感じますから、食べた瞬間とのタイムラグがあります。十分な咀嚼は適量で満腹感を得ることができますから食べすぎを防いでくれます。適度の硬さのものを噛み砕くことは咀嚼筋を使いますから、筋肉の衰えを防ぐことができます。

加齢とともに表情が失われがちですが、「よく噛み砕く」「大きく口を開ける」ことは表情を豊かにして滑舌が悪くなることも予防してくれます。

ものを噛み砕く時、多くの筋肉を使い、頭蓋骨への刺激を与えることにより、脳細胞を活性化します。 健全な咀嚼ができていると自然と唾液がたくさん出てきます。唾液には免疫物質や自浄作用がありますから、虫歯や歯周病を防ぐことができます。また、咬むことの刺激は歯槽骨や歯周組織への刺激となり、細胞の入れ替わりもスムーズに行うことができます。また、唾液には若返りのホルモンが含まれていますし、免疫物質や酵素には発がん物質を押さえる作用がありますから、ガン予防にもなります。また、咬むことによりバランスの取れた栄養を摂取することができますし、消化もスムーズになり、十分な繊維質の摂取は便通をスムーズにします。

歯が残っていること、咬む筋肉が働くことにより、運動や日常生活でも食いしばることができ、瞬間的な力もでますし、運動機能の低下を防ぐことができます。 このように咬むことには多くのメリットがありますが、虫歯や歯周病に罹患している歯では咬むことはできませんし、歯が欠損して入れ歯もない状態では咬むこともできません。このような場合は、まずは歯科医で治療や入れ歯の製作を行ってください。そしてまずはやわらかいものから少しずつ咬むことをトレーニングしてみて下さい。硬いものを咬むよりもやわらかいものでも十分な回数を咬むことを優先させて下さい。

(文責 神奈川歯科大学客員教授 医学博士 簗瀬武史)

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年

2008年

2007年

2006年

2005年

2004年

2003年

2002年

2001年

2000年

1999年

市民新報記事一覧にもどる

上にもどる